表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1262/1594

14-53 候補地が無い


倭国王しずのくにのきみの元には、弱いが闇のかたまりが有った。だから遠ざけ、移させたが何だ、あの力は。




「まぁ良い。」


かなり奪われたが、まだタップリ残っている。祝がイナイこの地でなら、より強い力を得られるハズ。気長に待つさ。


「クックック。アレほど滑稽な生物は無い。」


醜悪で愚鈍な存在、それが人類。




叢闇鉄。そう呼ばれるブツは遠く、大陸からもたらされた呪物じゅぶつ。闇を纏う時、『海の向こうに王道楽土おうどうらくどを』と言っていたが大嘘。


腹の中では対国ついのくにを足掛かりに儺国なのくにを奪い、しづめ西国にしくにを支配下に置く。


それから中の西国にしくに真中まなか七国ななくにと侵略の触手を伸ばし、やまと全土を。そう考えていた。




「にしても、あの姉弟。」


対国から儺国、琅邪ろうやに入って直ぐだ。かんなぎの姿をしていたが、あの女。それに、あの男。闇を抱えていたゾ。


「はぁ。過ぎた事だ、忘れよう。」




呪物は大陸から対国、儺国と渡り、倭国しずのくにつわものが海路で持ち帰った品。略取した闇を濃縮させるため儺国、琅邪に入るも卑呼姉弟、琅邪大王ろうやのおおきみに妨害される。



海中で浄化されながら気合と根性で上陸し、近くにいた人間に拾わせる事に成功。


保国たもつくに水手かこからつわものの手に渡り、そのまま保国王たもつくにのきみ。それから飛国王とのくにのきみに奪わせ、倭国の大臣おおおみに奪わせた。



大王から離し、隠させたのは嫌な予感がしたから。




「この山、妙だな。」


ふもとなのに人が来ない、近づかない。どうなっている。


方方ほうぼうから闇が噴き出すのに、深いのに何も感じない。」


空嶽うつおだけの縦穴で呟く。




矢箆木社やのきのやしろから緊急報告を受け、和山社なぎやまのやしろが動いた。


叢闇の品は大蛇神おろちのかみでも、全ての才を持つ化け王にも破壊できない代物しろもの。だから急ぎ議り、中つ国と根の国のさかい神倉ほくらを建てる事になった。


のだが・・・・・・。




「困った。」


候補地が無い。


「鎮の西国はいくさ、戦で闇が濃い。」


ずっと昔からネ。


「中の西国は落ち着いたが。」


戦はナイけど、小競り合いなら今も。


「真中の七国は話にならぬ。」


本当、懲りないね。




このたび、倭国に持ち込まれた鉄は小さいが恐ろしく深く、濃い闇を纏っている。耶万やまほらより大きく、蛇谷の洞より強くなければ納められない。




「鼠神。」


「はい、大蛇神。私が見つけた洞は閉じたり崩れたりで、神倉も社も建てられません。」






中の東国、大貝山の地の果て。死の森に在るには在る。けれど空白地帯で、明里あかり領を通らなければ入れない。


明里は人のときに在るおにの国。悪取神あとりのかみ御坐おわすが大国おおくにで、合いの子も多く暮らしている。



明里は千砂ちさと加津が後見うしろみになり、腰麻こしまと結んだ。千砂と加津には妖怪の国守、腰麻には妖怪の祝が居るが頼れない。


シッカリしているが、万が一というコトも。






「霧雲山、麓の石室いわやの奥に建てるか。」


「エッ、と。あの洞は確か。」




岩窟の奥に洞が在るが、細い蛇にしか出入り出来ない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ