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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1261/1592

15-52 感涙警報


しづめ西国にしくに、中の西国、真中まなか七国ななくにいくさ好き。滅ぼした国の民を奴婢ぬひにし、酷い扱いをする。


話には聞いていたが、奴婢の子を人として扱わぬとは思わなんだ。






琅邪ろうやは小さな国ですが、大陸おおおかから認められた王が治める国。『おの大王おおきみ卑呼女ひこめ女王めのう卑呼男ひこお王弟おおととする』と言い切り、儺国王なくにのきみを黙らせるダケの力を持っていました。水と薬です。」


ホウホウ。


儺升粒なしょぶは卑呼女、卑呼男と力を合わせて琅邪を強く、豊かな国に変えました。叢闇鉄が琅邪に近づいたのは、己を儺国王に贈らせるためでしょう。」


ウンウン。


「女王は叢闇鉄を見て直ぐ、海に投げ捨てようとしました。けれど取り憑かれ、己の命と引き換えに琅邪から遠ざけようとしたのです。」


うるうる、ジィン。


「王弟は叢闇鉄に取り憑かれた姉を救おうと抱きつき、命を引き換えにして戦いました。」


涙腺崩壊、ドッバァ。


「大王は叢闇鉄から琅邪を守ろうと、命を捨てて戦う姉弟から『海の水を』と言われ、かめを抱えて汲みに行きます。戻って直ぐ体を奪われますが、甕を頭で割って海の水を浴び、卑呼姉弟と力を合わせて崖から海に飛び込みました。」






人がソコまでスルと思わなかった呪物、大慌て。気合と根性で離れようとするが相手が悪かった。


儺升粒も卑呼姉弟も『命など惜しく無い』と文字通り、死ぬ気で戦い続けた。



全ては己と同じ思いをする人を琅邪から、儺国からも無くすため。



卑呼姉弟は戦いの最中さなか、鬼化した事に気付く。



呪物を再起不能寸前まで追い込んでいたが、瀕死ひんしの儺升粒を救うためにおかに上げた。


その隙に逃げ出した呪物を拾ったのが、倭国のつわものを乗せて鎮の西国に来ていた保国たもつくに水手かこ






「叢闇鉄に逃げられた姉弟は、儺升粒の元へ急ぎます。けれど、もう。」


ガーン!


「生きていましたが、その身は二つに。」


エッ。


「人で鬼。そうなってしまった儺升粒に、卑呼姉弟は言いました。『ヌシは人、ワシらは鬼だ。死ぬまで琅邪大王ろうやのおおきみとして生きろ』と。」


夜叉社に、感涙警報が発令されました。






半鬼になった儺升粒を、鬼になった卑呼姉弟が支える。イキナリだと困るだろうが、女王になる前から卑呼女は琅邪社ろうやのやしろから出なかった。


顔を合わせるのは卑呼男と儺升粒だけ。



琅邪には生き神が御坐おわす。生き神は女王でめかんなぎ、仕えるのは王弟でおかんなぎ。琅邪の民は卑呼姉弟をあがめ、たてまつっていた。


他からアレコレ言われなかった、いや黙らせたのは親漢儺王、儺升粒。






「琅邪に強い『何か』が現れて直ぐ、矢箆木神やのきのかみが使わしめ、とろを向かわせ為さいました。けれど姉弟は儺升粒が動けるまで、琅邪を鬼の力で守っていたので入れません。」


報告・連絡・相談は大事。でも仕方ないよ。人は何も知らないし、知らされる事も無かったんだモン。


「瀞は社の下に潜り、踊って揺らしました。」


ざるを手にして掬うフリをしたり、魚籠びくを腰につけて『オットット』しながら楽しくネ。だって泥鰌どじょうだもの。イエイ♪


「それで、遅れてしまったのですね。」






安来節やすぎぶしに合わせて披露したのかって? この話は古代。今、弥生時代よ。


ちなみに安来節は島根県、安来市の代表的民謡。元は出雲節とも呼ばれ、日本海沿岸各地で歌われた舟歌デス。


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