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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1259/1591

14-50 気になる事


真中まなか七国ななくに御坐おわす、治めの七柱。多紀たきつどいまして神議かむはかり。




「いつからいくさを。」


駒国こまのくに甲賀神こうかのかみ


「・・・・・・代替わり。」


保国たもつくに壅坧神ようしのかみ


「しすぎて。」


瀬国いわたのくに五色神いしこのかみ


「分からぬ、か。」


笠国かさのくに前狭神まさのかみ




多紀社たきのやしろで溜息をき為さる七柱。


幾度いくたびも代替わり為されば、昔の事を問われてもチンプンカンプン。使わしめに聞いてもサッパリ。


『へぇ、ソウなんだ』『そんな事が有ったんだネ』てな具合で困ってしまう。




「光の雨が降ったのに、もう闇が溢れ出した。」


剛国こうのくに無患子神むくろじのかみ


「困ったモノだ。」


飛国とのくに伊摩神いいまのかみ


「それはソウと、気になる事が一つ。」


倭国しずのくに寧楽神しずらのかみ




中の東国ひがしくに、大貝山の統べる地にある大国おおくに耶万やまの社の司アコは蛇谷の祝、ひかるせがれで闇の力を受け継いだ。


蛇谷の祝が生まれ持つのは、光を飲み込む強い闇の力。ソレをふるい、地に染み込んだ闇まで清めた。



ココまでは良い。


気が付いたのは光の雨が降り、清らになったくる日。社の北と東の間に聳える空嶽うつおだけから禍禍まがまがしい『何か』が巻き上がった。




「空嶽には確か。」


「はい、多紀神。空分社うつおのわけやしろを守るのは闇から生まれた門音もと夜叉神よさのかみの使いとして、おにときではナク人の世に留まる鬼が居ります。」




やまと最古の鬼神で在らせられる夜叉神は隠の世、空霧うつおぎりの地から御出にナラナイ。って使い隠、白牙はががアチコチ飛び回る。



門音は空嶽から動かず、人の世で生まれた鬼を保護したり、闇を食らって浄化しながら分社わけやしろを守っている。


人の世に思いを残したむくろから生まれ、夜叉神に救われた鬼は大の戦嫌い。




「カララを向かわせましたが、闇が濃過ぎて。」


・・・・・・。




寧楽神の使わしめ、カララは駒鳥の妖怪。


妖怪の多くは闇耐性が低く、濃い闇には耐えられない。隠なら耐えられるが、清めの水を飲まなければ気持ち悪くなる。それが空嶽。




「空分社に運ばれた時、聞いたそうです。『麓の縦穴たてあなに、叢闇鉄むらやみのくろがねが落とされた』と。」


ザワッ。


「光りの雨に耐えたくろがねは、人から沁み出る悪い思いを喰らう品。」


「となると、寧楽神。」


「はい、五色神。人の手に渡れば戦、飢え、病や何やで死に絶えるでしょう。」




国つ神は人の思い、願いから現れ出られる。


代替わり為さる神は少なく、数多の神が御隠れ遊ばす。そうなれば乱に乱れ、真中の七国が闇に呑まれてしまう。




大祓おおはらえ、出来るだろうか。」


無患子神が御目を伏せ為さる。


「モモ。急ぎ隠の世、和山社なぎやまのやしろへ。」


「はい。」


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