表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1254/1592

14-45 朝日


おのは死んだ耶万王やまのきみに生き写し。その事を気にみ、嫌っていた。けれど照は母に似ていると、そう言ってくれる。


母から受け継いだのは闇の力だけでは無い。その事が嬉しくて堪らない。




「ありがとう。」


照に頬を寄せ、アコが呟く。


「うふふ。」




アコは思う。耶万やまに組み込まれ、飢えたり凍える事が無くなったのに変わらない国を潰そうと。けれど、そのたびにドキリとするのだ。


己の顔も考えも、あの王と同じではないか!



耶万に滅ぼされた国は多い。蛇谷も、その一つ。だから残った国はボロボロでも、一人でも生き残りが居るのなら残したい。支えたいと。




会岐あき、伊東、大石、加津、腰麻こしま千砂ちさは元に戻った。久本は、まぁ何とか。なのに悦、うね、大野、光江、安は今も酷い。


他から奪う事しか考えず、いくさを仕掛けて攻めようとする。



耶万にやぶれ、消えて無くなった国。阿倍、綾部、井上、今井、嶋田、冨井、安井があった地は荒れ果て、森になったり林になったり。




「アコ。闇の力は強いケド、全てを救えない。だからね、出来る事をしよう。」


「そうだね。」




闇を抱えても、歪んでしまっても生きられる。『生きにくい』と思う事は有るけれど、それでも死ぬまで生きられるんだ。



母さん。生まれた子は皆、清らだよ。この力、誰かに受け継がれるのかな。その時、笑ってくれると嬉しい。


照が居るモン、使いこなせるようになるよね。



耶万の子も、耶万に組み込まれた国の子も皆、穏やかに和やかに暮らしてほしい。『幸せだな』って思ってほしいんだ。


だから諦めず、これからも力を尽くすよ。




「アコ、もう休もう。」


「ありがとう、ザク。」




夜が明けたら一人づつ選び、けてから闇の種を植える。


実がはじけるまで見せたら舟に放り込み、沖に流せば和邇わにが運ぶだろう。



耶万に仕掛けたり攻め込む国は、加津か光江の港を奪おうする。けれど会岐、大石、加津、千砂には妖怪の国守、腰麻には妖怪の祝が居て強い。


他とも社を通して結んだり、付合いが有るからね。






「おはよう! 朝だよ。」


耶万神やまのかみの使わしめ、マノが元気よく現れた。


「まだ暗い。」


「照さま、おはようございます。」


ニッコリ。


「浜に光が射すまで、まだ少しある。」


「そうですネ。」


にこにこ、シュルリ。




浜に朝日が射す少し前、アコが目を覚ましザクを起こした。身支度みじたくをしてから顔を洗いに行き、朝餉を食べて、お片付け。




「おはようございます。」


耶万からアサが到着。


「おはよう、アサ。朝餉は食べた?」


「はい、アコさま。」


「じゃぁ、行こうか。」


ザクが微笑み、外に出た。




兵頭は『耶万を落とせる』と信じて疑わないが、他のつわものは違う。ヤケに美しい朝日を見つめ、涙を流す。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ