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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1249/1591

14-40 お急ぎください


風見かぜみで作られ、闇喰らいになった石器が清められた。のだがナゼか消えない、無くならない。


テイと違って形が残っていたからか、人にドウコウできる品では無かったのか。






「闇を喰らい過ぎたのでしょう。」


と言いながら、さねが青い狐火を展開。


「ギャァァッ。」


石器に取り込まれた魂、叫びながら大暴れ。


「逃がしませんよ。」


口調は優しいが眼光は鋭い。






清め水にも祝の力にも負けなかったソレが、音もなく消滅。と同時にグイっと迫り、微笑むコンコン。飛び出したのはトンデモ発言。




「そうそう。『倭国しずのくにには風見から贈られた勾玉まがたまがある』と、狐の会で聞いたのですが。」


モフン。


黒目くめ、は耶万やまか。ん、勾玉。」






勾玉は歪曲した玉の一端に穴を開け、糸を通した装身具の一種。縄文時代から古墳時代に作られた、日本独特の飾玉である。


奈良時代以降も寺社で荘厳具しょうごんぐ、祭器として使用された。らしい。






風見神かぜみのかみ。」


「いや、そのアレだ。」


わざわいを?」


冷や汗ドッバァ。






早稲の外れで見つかった石は、そう古いモノでは無い。けれど倭国に渡った勾玉は?


拾った石で作られたモノなら良いが、もし違っていたらドウなる。



あぁ、次から次へと。いや待て。その前に急ぎ、呪い石を何とかせねば。






たぎくだ。獣から出たコレを、急ぎ。」


よろしいのですか。」


実に問われ、ハッ!






闇を引き出して固め、砕くハズだったモノが逃げ出した。ソレはおのを持ち、獣の体を奪って動き回る。もし他にもあれば、真中の七国で闇を取り込めばドウなる。


考えるマデも無い。


耶万には強い清めの力を持つ祝女はふりめ、強い守りの力を持つ祝人はふりと。社の司は蛇谷の祝の子、闇を光に変える力を持つ。引き渡せばスッと清めるだろう。


けれど消して無くす前に力を強め、また逃げれば困った事になるゾ。






「お急ぎください、風見神。その石は闇を求めて動き、禍をもたらします。」


耶万社やまのやしろから戻った黒目、シュルシュル這いながら力説。


「黒目ぇぇ。」


ガシッと掴まれスリスリ頬ずり。


「あにょっ。大祓おおはらえにと、マノさまが。」


耶万神やまのかみの使わしめ、マノは蛇のおに。闇に強い。


大祓するならと、風見に来てくれた。


「ウム、急ごう。」






耶万社から大貝社おおかいのやしろ、大貝社から和山社なぎやまのやしろへ根回し済。あまつ国と根の国から御許しをいただき、大祓の儀が始まった。


風見の北にマノ、南東に黒目、南西に実。同時に一線を引き、風見神が御力を揮われる。






「ギエェェェ。」


呪い石からボッと、黒い煙が上がる。ソレは取り込んだ闇で、人のときに残された思い。






このたびの大祓、三日三晩も続きました。


黒蛇だった黒目、白くなったと気付き絶叫。風見から倭国に流れたと思われる勾玉を、直ぐに調べなきゃイケナイのに悶絶。


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