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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1245/1592

14-36 良く聞け


風見かぜみ早稲わさ耶万やまとの結びを解き、離れた。


耶万王やまのきみ悪巧わるだくみするたび、苦しみながら死ぬ。けれど『耶万の夢』は広く知られ過ぎて、もう手放せなくなっていた。


だから強めたり弱めたりして、薬としても使えるようにしたのだ。






「ヴッ。」


「ガハッ。」




ココは『垂れ流しのひとや』。風通しは良いが、他の獄と違って光は届かない。


ヌッと出た闇の手にあごを掴まれ、ひたいを押さえられ口を開く。



底を抜いた瓢箪ひょうたんを突っ込まれ、のどの奥にドクドク流し込まれたのは『耶万の夢』。薬としても使えるが、直ぐに死なないダケで毒は毒。


力が入らなくナルよ。




「良く聞け。耶万にそむくなら、大野もうねも潰す。」


サゴとゴズを気遣う事なく言い切ったアコの目は、恐ろしいホド冷たかった。


「ハッ、ジジィに何が出来る。」


「サッサとクタバレ、くそジジイ。」




アコが獄の扉を開き、後ろ手に縛られている二人に近づく。毒突いていたサゴとゴズがひるみ、尻をこすりながら下がった。


アコは蛇谷の祝、ひかるの子。守りに強い。


年老いたが祝の力を持たない、若いダケの男には負けません。




「聞く気は無い、と。」


迫力満点。


「久本と組んでも、真中まなか七国ななくにからつわものを集めても耶万には勝てん。諦めろ。」


そう言って背を向けたアコに、サゴとコズが襲い掛かった。のだが。


「こう、なったか。」


闇の種をバババと植え付けられ、蜂の巣になった二人。互いに見合い、ニュッと体内に入るソレに恐怖する。


「な、にを。」


ガタガタ震えながら問うも、アコが振り返る事は無かった。獄の扉が閉じられ、かんぬきが掛かる。



「アサ。悪いが急ぎ、頼む。」


「はい。」


慌てて柵に近づこうとするが、思うように動けない。


「ギャァァァ。」


足元が開き、ストンと落ちた。獄も暗かったが、もっと暗くて冷たい。






耶万と采、大野は離れている。


アサの闇の力で進むのは水筋ではナク地層の間。ジグザグと縫うように進むので、場所によっては骨が砕けそうなホド狭くて細い。



『何でコンナ事に』とか『許さねぇ』とか物騒なコトを考える度、闇を抱くのでスクスク育つ。メキッ、バキッと音を立てるが、サゴもゴズも其処それどころでは無い。


動けないのだ。


メリメリにょきにょき、グチャグチャと聞こえてもソレが『おのの体から』ではなく『外から響く何か』だと思っている。






「ワッ。」


初めにポンと出たのは大野。ゴズが地に落ちた瞬間、皮を破って発芽。グングン伸びて葉を広げ、ポポンと花が咲く。


「ギャッ。」


次にポンと出たのは采。サゴが地に落ちた瞬間、皮を破って発芽。根を下ろし葉を揺らし、ポポンと花が咲く。




大野と采に居た兵たちは思い出す。昔、年寄から聞いた話を。


闇の種を植えられた人が悪い事を考えれば、体の中で芽吹く。ソレが皮を破ると助からない。




「逃げろぉ。」


柱頭ちゅうとうに顔が出て、花糸かしが伸びる前に離れなければ死ぬ。


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