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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1243/1592

14-34 お伝えしました


ゴズとサゴを乗せた舟が大磯川を北上。


『あの森の北まで漕げ』と言われたが、おかに上がったのは白い森が対岸に広がる地。




「オーン。」 ミツケマシタ。


「オォーン。」 クマノカリバデス。


「オーン。」 モドレ。


「オーン。」 ハァイ。




黒狼族が千砂ちさ吹出山ふきでやまの間から東、大磯川の近くで野営する一団を発見。


ソコは熊サンお気に入り地点。ドッと降った雨が洗い流したが、それまでは赤い花が咲いていた。




大神おおかみだ。」


「山神の使いに囲まれた。」






はい。吹出の社憑き、使い狼のウコです。


黒狼族のおさで妖怪の黒狼。狼だモン、いつだって群れを率いて行動するヨ。



嫌だな、人なんて食べないよ。冬じゃナイもん。


アッ、違います。冬は食べ物が少ないので、行倒れの人を。むくろだよ。死肉をね、いただきマスの。オホホのホッ。






「クヮァッ、眠い。」


吹出神ふきでのかみの使わしめ、羽葉うばは大烏の妖怪。昼行性なのでオネムです。


倭国しずのくにつわものですよ、アレ。」


ウコ、控え目に進言。


「暴れ川に出ても祝辺はふりべもりが力をふるう。捨て置け。」


ムニャムニャ。


「大野と久本の間に風見かぜみが、何かアブナイのをババッと仕掛けました。毒ですよ、アレ。」


「ウコ、聞いとらんぞ。早ぅ言わんか。」


「・・・・・・三つ前の夜、お伝えしました。」


ジトォ。


「ん?」






風見が仕掛けたのは毒だが、耶万やまの夢と違って獣に優しい。と言うより獣が嫌う匂いがするので、口にするのは人だけ。



久本は南西に在った、耶万に滅ぼされた国。風見と同盟関係にあったが裏切り、うねと大野と結んで耶万に寝返るフリをするも、あっさりバレた。


生き残りは奴婢ぬひとなり、多くが酷使され死亡。信仰心を持たない子が残り、風見と耶万を恨みながら成長。



耶万の夢の製造拠点の一つだが、飢える事も凍える事も、戦に駆り出される事もなく暮らしている。


なのに今でも風見、耶万を奪おうと考えるやからがウヨウヨしているのだから遣る瀬無い。






「悪かった。」


少し考え、思い出した羽葉。素直に謝罪。




ウコから知らせを受ける前、風見社かぜみのやしろから使いが来た。森に罠を仕掛けたが、狙うのは久本と大野、采の生き残りだと。


早稲は毒の扱いが上手うまく、良く効く薬を持っている。だから村なのに風見と対対たいたいの付合いをし、いつでも国に出来るのにシナイ強い村。




千砂ちさからも知らせが。」


「はい。国守の子、ヨヨが先見したと。」




ヨヨは先見の力を持つ、人と妖怪の合いの子。


初めは闇に限られていたが、今では祝の力より強い。先読は出来ないがハッキリ見えるので、千砂の民は健やかで長生きすると言われている。




「耶万が動くなら、このまま見守るか。」


「はい。」


そうして下さい、お願いします。


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