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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1241/1593

14-32 終わったよ


光の雨が降っても、地に染み込んでも、真中まなか七国ななくに闇塗やみまみれ。




「清らになれぇ。」


倭国しずのくにを治め為さるのは御饌津神みけつかみ。人に望まれ、禍津日神まがつひのかみとして現れ為さった。


けれど、いくさより農業に興味を御持ち遊ばす。


寧楽神しずらのかみ。」


目を輝かせているのは駒鳥こまどりの妖怪、使わしめカララ。


寧楽神が代替わり為さるたび、厳しく御育てするのは怯える事なく大きな声で、力いっぱいさえずりたいから。






真中の七国に光の雨が降り注いでも、大祓おおはらえの儀が執り行われていても嫌な感じがする。


国と国の戦が止まり、話し合いが進んでいる。けれど、悪い事が始まりそうだ。






「何の何の。」


瀬国いわたのくにを治め為さるのは海運の神。


五色神いしこのかみ、流れを御読みください。」


使わしめたきは人を酷く嫌う蛇の妖怪。


「オウよ。」


代替わり為さる度、軍神いくさがみとして現れ出られる。けれど戦嫌いに御なり遊ばすのは、瀧がコンコンと昔語りをするから。


歴史から学ぶってヤツですヨ。






七王は中の東国ひがしくにに送ったつわものが戻らず、このままでは冬を越せないと考えた。だから話し合いで戦をめ、民と食べ物を増やす事にしたのだ。



けれど思い通りにナラナイ。


アチコチで小競り合いが続き、むくろから流れた闇が溜まってゆく。






「サッサと清める、負けないゾ。」


飛国とのくにを治め為さるのは山神。軍神として現れ出られても、山神として御力をふるわれる。


「はい、伊摩神いいまのかみ。」


使わしめしのは九尾の妖狐。伊摩神が代替わり為さる度に人に化け、実践訓練を実施する武闘派。






真中の七国から闇が噴き出したのは、雪が解けたのに春が来なかった夏。


日は照るのに暖かくならず、夜に凍えて死ぬ人が増えた。嬰児みどりご幼子おさなごがバタバタ倒れ、弱って動けなくなる。



雨が降らず泉が涸れ、川まで細くなれば『他から』と考える。けれど他の地もスッカラカン。頼りたくても頼れないなら水が多く、豊かで暮らし易いトコロへ。


とはナラナイよね。






「山での暮らしを守るためぇぇ。」


保国たもつくにを治め為さるのも山神。軍神として現れ出られても、山に御籠り遊ばすのは人が嫌いだから。


壅坧神ようしのかみ一度ひとたび、大きく息を。」


使わしめはみは人になぶり殺され、同じ苦しみを抱くおにを取り込み妖怪化したマムシ。


「そうだな。ありがとう、蝮。」


壅坧神が代替わり為さる度、蝮は静かに語りだす。蛇だった時、何が起きたのか。どんな思いで死んだのかナドなど。






真中の七国に移り住んだ人は考えた。一から作るのが難しければ、他から奪えば良いと。


この地で暮らす人は生まれつき、戦が好きなのか。いや違う。



しづめ西国にしくに、中の西国も戦好きだが大陸からイロイロ入ってくる。ソレを使えば強くなれるから、もっと強くなろうと考えてしまう。


真中の七国は強くなりたい、というより生きるために奪おうとするダケ。






「終わったよ、モモ。」


「はい、多紀神たきのかみ。」



光の雨に続いて執り行われた大祓により、真中の七国から闇が噴き出さなくなった。


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