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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
乱雲山編
124/1571

5-51 良い村にしよう


「この川を、上ればいいのか。」


「舟で行ける。滝の近くに、船着き場がある。コタかソラがいるはずだ。いなければ、戻るまで待ってくれ。」


「わかった。で、シゲは?」


「オレは、熊実に行ってくる。」


「そうか。他に、誰か来たか?」


「いいや、センだけだ。今はな。」


「そのうち来るさ。」


「そうだな。じゃあ、行ってくる。」


「オウ。気をつけてな。」




早稲の社の司に託した、皮の切れ端。あれを見れば、分かるはずだ。



「シゲ。シゲじゃないか。」


「タケ、シロ。良く来てくれた。」


「思い切ったな、熊実か。」


「いや、違う。」


「違うのか。じゃぁ、どこだ?」


「ワン、ワワン。」 ア、キタヨ。


「どうした、シロ。」



「ワン。」 ヨッ。


「ムロ。来てくれたのか。」


「クロもいるぞ。」



生き残った大人は、思ったより少なかった。シゲ、カズ、ノリ、コタ、コノ。セン、タケ、ムロ。シンを入れて、九人。他は、死んだ。


しかし、子は多く残った。子は宝だ。この冬を越せたら、獣谷の隠れ里から、人を迎えても良い。




「へぇ、良い山じゃないか。」


「出るって言うから、おどろおどろしいのかと。」


二人とも、楽しそうだ。


「気になるか?」


シゲ。念のため、聞く。


「人の方が、恐ろしい。」


タケが言い切る。


「確かに。」


頷くムロ。



舟をひっくり返して頭の上に乗せ、運ぶ。タケの背負子は、シゲが。犬にも、荷を運んでもらう。三人と三匹、仲良く村へ。



「シロ、クロ。良く来たな。ヨォシ、ヨシ。イイコ、イイコ。」


「ノリ。相変わらずだな。」


笑いながら、ムロ。


「ヨッ。干し肉、やっても良いか。」


ノリは人より、犬が好き。


「あぁ。」


「いいぞ。」


タケもムロも、ニッコニコ。


「ヨシ、ヨシ。お食べ。」


「ワン。」 ハァイ。


「ワワン。」 アリガトウ。


シロもクロも、大喜び。ブンブン尾を振る。


「それにしても、冷えるな。」


「そうか?」


「女は、冷えるんだ。」


「あっ、忘れてた。」


ムロの背をバンと叩くタケ。タケは、女性です。




「わぁぁ。タケさん、ムロさん。」


「シロ、クロもいる。」


良村の子は、ワンコが好き。


「みんな。手伝いかい? 偉いね。」


タケに褒められ、ニッコニコ。

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