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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1239/1590

14-30 花火より


体中から芽が出て葉を広げ、ポポンと花を咲かせた。


モウとカンの顔が柱頭ちゅうとうに現れ、花柱かちゅうをグワングワン動かしながら大暴れ。そのたび花糸かしが伸び、花弁かべんを散らせる。






「ごめんください。お届けモノです。」


耶万神やまのかみの使わしめ、マノ。黒蛇のおにで闇にも強いヨ。


「お久しぶりです、マノさま。こちらへ。」


八生やぶの尾を掴んだまま、モモが大きく手を振った。


おりに入れますか?」


「お願いします。」


シュルシュルと近づき、柵の間に安のゴリを押し込み、尾でバンと打った。


「ギャッ。」


ビュンと飛び、幹にゴン。


「アッ、アッ、アァァ。」






多紀たき真中まなか七国ななくにの、真中に連なりそびえる山。闇の種を植え付けられたゴロツキ三人が放り込まれたのは、使わしめ八妖が作った檻。


八角形なので崩れ難く、人の力では壊せない。






「イヤダ、ダズゲデ。」


メリメリ音を立てながら、根が血管を裂いてゆく。


「ジニダグナイ。」


口と鼻、耳からも血を流し目玉が飛んだ。






耶万から届けられた追加が、発芽と同時に急成長。闇の木が三本、交互に編み進みながら葉を広げる。


咲き誇る花から伸びる花糸が、特別仕様の檻を破壊しようとむちのようにしなう。けれど傷一つ付けられず、焦げて黒煙が上がるダケ。






「ギョォォォ。」


柱頭に現れた破落戸ごろつきども、三人仲良く大騒ぎ。


「ゴォォォ。」






やくが落ちた拍子ひょうしに破れ、ブワッと花粉が舞い上がる。隆起した根が隠れるホド濃くなったソレに、タップリと闇が染み込んだ花弁がボタボタボタ。


落ちても破れなかった葯も花糸に打たれ、粒状の細胞が細かな塵になって浮遊。



花柄かへいがグワングワンと揺れる度、花床かしょうに守られた子房しぼうが膨らみ、がくめくれた。






「ヴゥゥ。」


ブヨブヨした実がボンボン落ちて、固い胚珠はいしゅに直撃。と同時に火花が散り、柱の中に飛散していた花粉に引火。


「ヴォォォ。」


モウ、カン、ゴンに植えられた闇の種が芽吹き、育った結果がコレ。真中の七国に溢れる闇を吸収し、巨木になって苦悶している。


「ヴゥゥゥ。」


急速に引き伸ばされた実に、紫赤色の線が入った。






「ヴ、ギィィ。」 モウ、タエラレナイ。


八生が膝をつく。


「シッカリなさい。」


モモに尾を引っ張られ、マノには尻を叩かれ、元から赤い尻が深紅に染まる。


「ヴギィッ。」 シリガサケルゥゥ。




八生の悲鳴に共鳴したのか、闇の実がドンドン膨らむ。その大半が風船のように透け、今にもはじけそう。






ヴゥゥ、ヴァン! ヴァンヴァン、ヴァヴァン、ヴァン。ヴゥゥ、ヴァヴァヴァヴァヴァン。






花火より派手に破裂した闇の実が、闇に汚染された真中の七国に、物凄い量の光の雨を降らせた。


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