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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1234/1592

14-25 また生まれたのか


鸊鷉かいつぶりの古名はにお、大きさは鳩くらい。


あしゆびの両側に付いている膜がみずかきの働きをするので、巧みに潜水して小魚を捕食。典型的な潜水性の鳥で大きな湖や川、内湾などに生息。




「兎は食べないヨ。」


食べるのは主に小魚デス。


「ヨイサッ。」






巨大化してから目を回す兎をくわえ、地をスイスイと進む。ペタペタ歩くより早いからネ。



御嶽社みたけのやしろではナク多紀社たきのやしろうかがう予定だったのだが、使わしめを気絶させたまま放置できない。


だから先ず、垨を御嶽神みたけのかみの御元へ送り届ける事にしたのだ。






「ごめんください。」


社の前で下ろすと地から出て、サササと毛繕い。それから声を掛けニコリ。


「はい。」


御嶽の社憑き、喜知きちは烏の妖怪。チョットやソットじゃ驚かない、のだが見開く。


「鳰海神の使わしめ、すみです。狭間はざまの地から人のときに出た時、兎さまを驚かせてしまいました。」




大木おおき根本ねもとから頭を出し、キョロキョロする水鳥と目が合えばドウなるか。


兎じゃナクても驚きマス。






「・・・・・・ハッ。」


垨が飛び起き、コテンと首を傾げた。


「あれ? 喜知がいる。社だ。」


「はい、御嶽社です。倒れた兎を咥えて、社まで送り届けてくださった」


「アァッ!」


それなりに強いが荒事を好まぬ自称、頭脳派の烏天狗が目を閉じた。


むしりますよ。」


喜知、本気だ。本気の目だ。


「白兎じゃナイもん。」


野兎のおにが融合し、妖怪化したので茶毛です。


「皮をかれたい、と。」


ゾゾゾッ。


「ち、違いますぅ。」


と言い残し、シュタタタタァ。


「速いなぁ。」


脱兎の勢いにチョッピリ感動。






鳰海神は砂と水の神。海のように大きな湖から現れ出られた、狭間の守神でも在らせられる。


御力も強い。




「こんなトコロまで。」


湖に流れ込む闇が水面みなもただよい、ユックリと水底みなぞこへ。


「あぁ、また生まれたのか。」


人から生まれても、人を食らわなくても合いの子は殺される。


「潜。悪いが急ぎ、耶万社やまのやしろへ。」


「はい。」






生まれる前に社を通せば、人と同じ時を生きられるカモしれない。


救われた合いの子は悪取社あとりのやしろに引き取られ、明里あかりで幸せに暮らせる。良く知られた話だが、社の外に広まらないのは当たり前。



祝の力が無ければ何も見えない、聞こえない。妖怪の国守が居れば良いが、その多くが人の世を逃げ出す。


生きづらいから。






「これからも無くならぬのか。」


争わず話し合い、助け合って暮らせば良いのに。


「さぁ、おいで。根の国へ送り届けよう。海や山より近いし、迷う事も無い。」




鳰海神が御手を広げ、御力をふるわれた。吸い寄せられるように集まった魂が清められ、静かに旅立つ。


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