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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1232/1644

14-23 日に日に濃く、深くなる


モモは石楠花しゃくなげ、桜とは違う。のだが花がブワッと散り、薄赤一色になった。






「モモさま。」


ハッと我に返り、微笑む。


真中まなか七国ななくにから闇が溢れれば南国みなのくに、中の西国にしくに、中の東国ひがしくにに流れ込みます。」


ポンと出たつぼみが光を纏う。


「南国と中の東国は直ぐにはらい清められるでしょう。けれど中の西国は、纏まって日が浅い。」


長楕円形の葉がパタパタ。


「闇に強い私でも、この地は。」


照、ちょっぴり気怠けだるげ。






しづめの西国と中の西国は海の向こうと繋がりを持ち、他では手に入らない品で力を付けた。真中の七国はソレを仕入れ、いくさを仕掛けている。



笠国かさのくには内より外を見て、戦では奪えないモノに目を付けた。


真中の大王おおきみになるより、後ろで糸を引く大臣おおおみになろうと考えたのだろう。話し合いを選んだ五国を上手く纏め、話を進めている。






「濃く、なりました。」


多紀たき山から見下ろすにおの海が、日に日に輝きを失っている事に気付いていた。


「鳰の海を囲む山が守るのは広く、豊かで水に困らぬ平らな地。それを奪おうと仕掛けた戦は、いつまで待てば終わるのか。」


照が溜息ためいきき、湖面を見つめる。






アチコチから噴き出した闇が、もの凄い勢いで渦巻いている。このままでは闇が溢れ、闇堕ちするだろう。


その前に。いや、もう手遅れか。



祓えても清めきれず、数多あまたの神が御隠れ遊ばす。


人が望むのは力。軍神いくさがみが現れ出られ、嬰児みどりご幼子おさなごの目から光が消えてゆく。






「騒がしいですね。」


「はい。」






現れ出られた神は望まれるまま御力をふるわれ、闇堕ち為さって大騒ぎ。祀る人が居なくなれば、社が在っても残れない。


いつか忘れられ、そのまま。



真中の七国は幾年いくとせも戦が続き、祝の力を持つ人が生まれなくなった。だから強い力を求め、確かめもせずにさらって殺す。


奪えないのに奪えると信じ、殺し合う。それが人。と言われているが、どうなんだ?






「おや、まぁ。」


照が蜷局とぐろを巻き、赤い舌を引っ込めた。


「早過ぎる。」


モモがポツリと呟く。






多紀神たきのかみと子神で在らせられる八柱が御力を揮われ、大祓おおはらえの儀が執り行われた。


清らな風が山肌やまはだを撫でながら山裾やますその地へ。



勢いそのままに低い地をフワリと包み、スッと祓い清められたのにジュジュジュとげ、黒い煙にナリマシタ。


ねぇ、どうして? 多紀山はピッカピカだよ。






「統べる神は幾柱、御坐おわすのですか。」


ピクン。


「御隠れ遊ばし、代替わり為さる。」


コクン。


「では急ぎ。」


「はい。」






代替わり為さった神神が御力を揮われる前に、何としても御止めせねば!



日に日に濃く、深くなる闇を光に変える。そんな力を持つ人は耶万のアコだけ。アチコチから噴き出る闇を纏めて取り込み、光の雨を降らせてくれる。


きっと。


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