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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1231/1643

14-22 同じ時を生きているのに


しづめ西国にしくには荒れているが、中の西国は落ち着いた。


国を治めるのは王、人を纏めるのは社の司。数多あまたの神が御坐おわすので社を通して話し合い、八社やつやしろが選ばれる。


八国やつくにを一つにするために。



穴門あなと穴門社あなとのやしろ磐現いわみ磐現社いわみのやしろ、出雲は杵築大社きづきのおおやしろ伯耆ほうき伯耆社ほうきのやしろ、因幡は因幡社いなばのやしろ吉備きび吉備社きびのやしろ安蓺あき安蓺社あきのやしろ周坡すは周坡社すはのやしろ






真中まなか七国ななくにも話し合い、中の西国と同じ事が出来れば良いのに。」


多紀神たきのかみの使わしめ、モモが呟く。






その昔、明里あかりが他では暮らせない人や合いの子を、社を通して引き取った。それがキッカケとなり、今も助け合っている。


だからスンナリ受け入れられたのだろう。






「同じ時を生きているのに、何がドウ違うのか。」


石南花しゃくなげおに、シオシオ。






鎮の東国ひがしくに、四つ国、南国みなのくには山深く、助け合わなければ生きられない。だからいくさで奪い合うより、話し合う事を選んだ。



中の東国、南の地は荒れたが耶万やまが変わった事で落ち着いた。


王は社の司から認められなければ、他のきみおさと会う事も出来ない。万十まと氛冶ふや風見かぜみ早稲わさにらみをかせている。






「こんにちは。」


アコの憑き蛇、てるがシュルリ。


「し、白蛇さま。」


シャキン。






白蛇の隠、照が憑くのは人。歴代蛇谷の祝に憑き、支え続けた事で光と闇に強くなった。



蛇谷最後の祝、ひかるの忘れ形見であるアコに憑いているが、今でも蛇谷を守ってマス。







「真中の七国で、今もザワザワしている飛国とにくに倭国しずのくに。その二つから真中の七国を清める、とても良い話を持ってきました。」


悪い話ではアリマセン。


「お聞かせください。」




アチコチから闇が噴き出し、溢れそうな地に光の雨を降らせてくださると。


闇の種を植えられた人がかかえる闇が濃く、深ければ深いホド強く、清らな光が降り注ぐのですか。


はい、お願いします。




「闇の種を植え付けた罪人つみびとを、倭国と飛国の間に飛ば、飛ばすぅ。」


モモの頭に、花がポポンと咲いた。


「はい。飛国のつわものは中の東国にある明里の一つ、松田に入って松裏まつうらで死にました。倭国王しずのくにのきみに近づき、兵を預けられた男も兵と死ぬでしょう。」


ゾゾ、ゾワワ。


駒国王こまのくにのきみ笠国王かさのくにのきみ保国王たもつくにのきみ瀬国王いわたのくにのきみ剛国王こうのくにのきみは戦をめ、話し合いを始めました。飛国も倭国も、次の王は言い伝えを信じています。」


「はい。」


ニコリ。


「飛国に保国、笠国も海に出られます。けれど他は海から遠く、待ち伏せて戦うのが上手うまい。他より弱い倭国が残ったのは、負ける前に口で戦を仕掛けるから。」


「その通りです。」


「このたび大戦おおいくさ。勝ち残るのは倭国だと、耶万の祝が先読しました。」


「ホエッ。」


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