14-22 同じ時を生きているのに
鎮の西国は荒れているが、中の西国は落ち着いた。
国を治めるのは王、人を纏めるのは社の司。数多の神が御坐すので社を通して話し合い、八社が選ばれる。
八国を一つにするために。
穴門は穴門社、磐現は磐現社、出雲は杵築大社、伯耆は伯耆社、因幡は因幡社、吉備は吉備社、安蓺は安蓺社、周坡は周坡社。
「真中の七国も話し合い、中の西国と同じ事が出来れば良いのに。」
多紀神の使わしめ、モモが呟く。
その昔、明里が他では暮らせない人や合いの子を、社を通して引き取った。それがキッカケとなり、今も助け合っている。
だからスンナリ受け入れられたのだろう。
「同じ時を生きているのに、何がドウ違うのか。」
石南花の隠、シオシオ。
鎮の東国、四つ国、南国は山深く、助け合わなければ生きられない。だから戦で奪い合うより、話し合う事を選んだ。
中の東国、南の地は荒れたが耶万が変わった事で落ち着いた。
王は社の司から認められなければ、他の王や長と会う事も出来ない。万十や氛冶、風見と早稲も睨みを利かせている。
「こんにちは。」
アコの憑き蛇、照がシュルリ。
「し、白蛇さま。」
シャキン。
白蛇の隠、照が憑くのは人。歴代蛇谷の祝に憑き、支え続けた事で光と闇に強くなった。
蛇谷最後の祝、煇の忘れ形見であるアコに憑いているが、今でも蛇谷を守ってマス。
「真中の七国で、今もザワザワしている飛国と倭国。その二つから真中の七国を清める、とても良い話を持ってきました。」
悪い話ではアリマセン。
「お聞かせください。」
アチコチから闇が噴き出し、溢れそうな地に光の雨を降らせてくださると。
闇の種を植えられた人が抱える闇が濃く、深ければ深いホド強く、清らな光が降り注ぐのですか。
はい、お願いします。
「闇の種を植え付けた罪人を、倭国と飛国の間に飛ば、飛ばすぅ。」
モモの頭に、花がポポンと咲いた。
「はい。飛国の兵は中の東国にある明里の一つ、松田に入って松裏で死にました。倭国王に近づき、兵を預けられた男も兵と死ぬでしょう。」
ゾゾ、ゾワワ。
「駒国王、笠国王、保国王、瀬国王、剛国王は戦を止め、話し合いを始めました。飛国も倭国も、次の王は言い伝えを信じています。」
「はい。」
ニコリ。
「飛国に保国、笠国も海に出られます。けれど他は海から遠く、待ち伏せて戦うのが上手い。他より弱い倭国が残ったのは、負ける前に口で戦を仕掛けるから。」
「その通りです。」
「この度の大戦。勝ち残るのは倭国だと、耶万の祝が先読しました。」
「ホエッ。」




