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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
乱雲山編
123/1570

5-50 出る、らしい


「なぁ、ノリ。」


「何だい、カズ。」


「ムロたち、来ると思うか。」


「来る。でも、カツは。」


「来てほしくない。」


「確かに。」



早稲わさの、社の司。ちゃんと見せると思うか。」


言い難そうに、カズ。


「弱いが、愚かではない。隠さないだろう。」


ノリのカンは、当たる。


「そうだな。まずは、この冬だな。」


「この山は、冷えるからな。」


・・・・・・。


「何か、思い悩むことでも。」


ノリ、カズに問いかける。


「実はな、気になっていることがある。」


「何だい?」


「この山には、誰も住んでいない。おかしいと思わないか。」


「それも、そうだな。何か見つけたのか?」


「いいや。」




「この山、出るんだ。」


「シン、起きていたのか。」


カズ、ビックリ。


「まぁ、ね。」


「で、何が出るんだ。熊か、犲か。」


「お化けさ。」


「お化け?」


「そういう噂がある。」




朝が来た。皆で朝餉を食べ、割り当てを決める。お腹いっぱい食べて、ぐっすり眠ったからだろう。皆、晴れやかな顔をしている。


しっかり食べて、温かくして眠る。そうすれば明るく生きられる。子らを飢えさせるわけには、いかない。



いざとなれば、ゲンに助けてもらおう。隠れ里のことは、誰にも言えない。いや、ノリとカズには言っておくか。とりあえず、ムロかタケが来るまで待とう。


今、オレに何かあれば、良村は立ち行かなくなる。狩り人が一人、というのは、良くない。



「ウゥゥ、ワン。」 ダレカ、キタヨ。


「ん、シゲコ。誰か来たのか?」


「ワン。」 キタ。




「ヨォ、イヌ。変わりないか?」


「ワン、ワワン。」 アッ、ヒサシブリ。


シゲコは撫でられ、尾を振る。



「セン、良くココが分かったな。」


「まあ、な。カンだ。イヌは、シゲが引き取ったのか。」


「ああ。イヌじゃなく、シゲコだ。」


「ノリが付けたのか。」


「そうだ。」


「良かったな、シゲコ。」


ワシャワシャと撫でられ、勢い良く尾を振った。



山裾の地の外れ。少し森に入った辺りで、センに会った。口数は少ないが、強い釣り人だ。

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