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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1225/1592

14-16 もう引っ張れない


倭国王しずのくにのきみ飛国王とのくにのきみから同じ匂いがした。ソレを確かめるため、大王おおきみが口をぬぐった布をコッソリ持ち帰る。


捨てられたモノだし、問題ナイよね。






「同じだな。」


毒嵓どくらは毒を持ち帰り、里人さとびとと共に調べてイロイロ試す。だから他より毒に詳しい。


「ドコの毒だい。」


「分からない。いつから居た、雲。」


毒嵓に問われ、ニコリ。


「『いくさに為らぬよう、静かに動いて守るのが忍び』からさ。」


・・・・・・。


「そんなに見つめられると、ふふっ。照れるな。」


ポリポリ。


「その毒、大陸おおおかから持ち込まれたキノコだよ。怖いよね。はじめは気持ちよくなって、何でも出来る気になるんだ。で、毒が切れるとまぼろしを見て暴れる。」


ゾゾゾッ。


「入ったのは保国たもつくに早貝さかいから。」


あかが言い、うたうなずく。


「そのキノコ。」


毒嵓が呟き、微笑んだ。


風見かぜみが手に入れ早稲わさに渡し、狩頭かりがしらがソレを良村よいむらに渡した。」






風見が耶万やまではナク、早稲に渡したのは『耶万の夢』に使わせてはイケナイと思ったから。


早稲は薬を作るのが上手く、強い毒消しを生みだす。そう考えたのだが早稲のおさ、ヒトは毒を強めるのに使おうとした。


ヒトを止めたのが大臣おおおみ、ヌエ。



兄と弟は言い争い、包みを奪い合う。妹でおみのセイが割って入り、『コレが何か知らんがカツに渡す』と取り上げギロリ。



妹に強く出られないワケではナイ。


三鶴と玉置に攻め込まれ、ボロボロになった早稲を立て直したカツとセイに頭が上がらないダケ。



包みを手にした狩頭、カツは『捨てる』と言ってやしろへ向かう。


社の司が暮らす家に入り、老犬カナを乗せて漕ぎだしたのは昼過ぎ。戻ったのは次の日の夜。






「となると。」


「あぁ。」


緋と謡が見合い、微笑んだ。






良村のコノは毒に詳しく、薬を作るのが上手い。


良山よいやまには他では見られない草や花、キノコなどが生えている。それらを用い、作られるのが『良村の毒消し』。


どんな毒にも効く。というワケではナイが、多くの命を救ってきた。



良村は『早稲の他所よその』人が、釜戸社かまどのやしろの許しを得て作った新しい村。カツも同じ『他所の』人。暮らす村は違うが顔見知り。


風見から早稲に持ち込まれた包みの中に、何が入っているのが知らなくても分かる。


ソレが危ないモノで、早稲の誰にも扱えないと。






「どうなっている!」


つわものが足りない、子が生まれない。生まれても食べ物が少ないから、病に勝てずに死んでゆく。


だから奪うしかナイのに、仕掛けても攻め込んでも負ける。


「このままでは七国ななくにを統べる事など。」


出来ないでしょうね。






真中まなかの七国はドコもズタズタのボロボロ。何とか治めているが、このまま進めば難しくなる。


うちのに奪われるなら良いが、外のに乗っ取られるのは許せない。


戦を続ける力も、兵も物もギリギリ。






「・・・・・・めだ。」


「大王。」






外に向けた力を内に向けなければ、このまま戦を続ければ冬を越せない。もう引っ張れない。



笠国かさのくに駒国こまのくに剛国こうのくち瀬国いわたのくに、保国の兵が戻され、作付けが始まった。


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