表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1224/1606

14-15 持ち帰ったのは


呪いだ。霧雲山の統べる地を荒らそうと、奪おうとしたから殺されたに違いない。


このままでは皆、死ぬ。死に絶える。国が、大国おおくにでも滅ぶ。滅ぼされる。






「引きます! 霧雲山の統べる地には何も、何もしません。仕掛けません、攻め込みません。ですから御許しください。お願いしますぅぅ。」


生き残ったおみおさが膝をつき、霧雲山の方へ頭を下げた。ひたいを地につけ、幾度いくたびも幾度も繰り返し。






真中まなか七国ななくに大王おおきみ破落戸ごろつきそそのかされ、中の東国ひがしくにつわものを出すと知ったのは耶万社やまのやしろだけでは無い。


忍びが嗅ぎつけ、裏取りしてから広めた。



中の東国には多くの忍びが居る。けれど結んだり、繋がりを持つ事は少ない。理由は簡単。皆、生まれ育った地を捨てて逃げたから。






忍びぃズ、あごクイッ。






霧雲山の統べる地で暮らす忍びは、他の地で暮らす忍びと違って結んでいる。中でも良山でつどう事を許された忍びは、いろんな意味で強い。



五つの忍び。


心消こけしの里、沢出社さわでのやしろの影。天霧山、矢弦社やるつのやしろの雲。天立山あまたてやま糸游社いとゆふのやしろの月。月見山、水月社みつきのやしろひの星海山ほしうみやま見空社みそらのやしろふくろう



影と雲は良山よいやま良村よいむらと協力関係にあり、五つの忍びが後見うしろみとなったので決して裏切らない。


いや裏切れない。



良村と対対たいたいの忍びには上木うえきの里、上木社うえきのやしろあかかしの里、厳樫社いつかしのやしろうた。良村、大蛇社おろちのやしろを通して結んだのは嵓の里、嵓社いわおのやしろ毒嵓どくら



他にも野比社のびのやしろ木菟ずく野呂社のろのやしろの鷲の目が居るが、いづれも霧雲山の統べる地から出る事は無い。


木菟も鷲の目も獣谷と結んでおり、獣谷を通して良村とも繋がっている。


外で起きているアレコレを獣谷や良村を通して知り、祝辺の動きを裏で取り仕切る道を選んだ。






「古いのは倭国王しずのくにのきみ飛国王とのくにのきみが残った。毒を飲ませるか嗅がせて、少しづつ弱らされている。」


緋は暗殺専門。真っ赤な毛、梟のような目を持ち、瞬殺をモットーとする忍びは夜行性。


「倭国は流れを読む。しづめ西国にしくにや中の西国から物や考えを取り入れ、弱いのを集めて頭で戦うだろう。」


謡は諜報に特化している。読心術を駆使したり、ひそかに探って様様な情報を入手。変装も上手い。


「真中の七国が一つに纏まるのは良いが、倭国が鎮の西国や中の西国と渡り合えるかな。」






緋も謡も西国に行った事は無いが、海の向こうと遣り取りしている事は知っている。


持ち込まれた品を見たが、ドレも見た事のないモノばかり。耶万が取り上げた舟だって、とても大きくて強かった。



いくさになれば、海の向こうから攻めてきたら。考えたダケで恐ろしい。


良山のように守りながら戦えるなら良いが、海から来るのとドウ戦う。海に罠を仕掛けるのか。






「戦に為らぬよう、静かに動いて守るのが忍び。」


「そうだな。」


暗殺専門の緋に言われ、謡が頷く。


「なぁ緋。倭国王と飛国王に盛られた毒とか、着ていたころもの切れ端とか有れば、少し貰えるかい。」


黙って聞いていた毒嵓がニコリ。


「毒は無いけど、布なら有るよ。」


持ち帰ったのは、大王が口をぬぐった布でした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ