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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1221/1590

14-12 難しいな


伊弉冉社いざなみのやしろからはひろ祝社はふりのやしろからおにもりうかがい、御知らせした事で大きく変わる。


御嶽みたけにあった闇の道は断たれ、使わしめが苦しむ事は無くなった。






もり真中まなか七国ななくにには、出雲の神議かむはかりに呼ばれる神が少ない。」


「はい。」


「霧雲山、祝社も。」


「・・・・・・御嶽神みたけのかみよろしいでしょうか。」


「ウム。」


「祝社に神は一柱も御坐おわしません。祝辺はふりべの守が山守のいただきを守るため、建てられたそうです。」


キリリ。


「ナッ、なんと。」






霧雲山も多紀たき山も、多くの山がギュッと押し合って一つになったダケで、アチコチに頂がある。


多紀も豊かで大きく、水筋がにおの海に繋がっているので溢れたり、ドドドと崩れる事は無い。



多紀に連なる山はいづれも豊かだが、許し無く奥に進めば命を落とす。


御山の奥はふもとや低い山と違い、里も村も無いので人も居ない。というより近づけないので暮らしやすいと、人のときにいる隠や妖怪が口を揃える。



中の東国ひがしくにの真中にそびえる霧雲山は、隠の世に聳える和山なぎやまより小さく低い。けれど人の世では他より大きい。


麓は濃い霧に包まれ、許し無く立ち入れば生きて出られぬ恐ろしい山だ。



山守の頂には山守と祝辺、二つの村がある。


地が割れて祝辺が高くなったが、泉が多いので水に困らず、日当たりも風通しも良いので食べ物が良く育つ。






「御嶽は難しいが麓、いや低い山の頂にやしろを建て、祝の力を持つ隠を。ん?」


祝の力は死ねば、生まれてくる子に移る。なのに祝辺の守は死んで、隠になっても祝の力を失わぬ。


「御嶽神。隠から妖怪になった腰麻こしまの祝が光の力を失い、あらたに闇の力を得たと聞きました。」


「闇が光を、吞み込んだのか。」


クワッ。






いくさやぶれ、耶万やまに連れ去られた祝は穢され、死にかけた時に憎しみをいだく。


暴れ狂った妖怪から他の隠を守るため、首に噛みつき殺した事で隠から妖怪になった。



ひるむ事なく戦い続け、はらい清められる事なく生き残ったユキは心から願う。連れ去られた腰麻の民を探し出し『救う力、癒す力が欲しい』と。






「腰麻の祝と同じ思いを他の祝に、とは思わぬ。祝辺の守は違うのか。」


山守神やまもりのかみの使わしめ、シズエさまより伺いました。腰麻の祝とは違いますが、こちらもナカナカ。」






山守の民が殺しまくった祝が隠になり、わざわいもたらすようになる。あせった山守の民がむくろを整え、手厚く葬ったが手遅れ。


山守社やまもりのやしろに泣きついたが何も変わらず、山守の頂に石積みの社を建ててまつる事にした。



頂にも清水にも近づかぬのに、祝の隠は鎮まらぬ。山守の民は困り果て、ひたいを集めて話し合う。


二夜三夜ふたよみよと時流れ一月ひとつきの後、もちの夜。死んだ祝の骨を集めて祝辺を作り、強い力を持つ祝に守らせれば良いと思いつく。



はじめは山守から通っていたが、清水の横に小さな家を建て、住込みで守らせた。それが後の祝社である。






「難しいな。」


「はい。」






多紀にも祝だった隠が暮らしている。根の国で話を聞き、おのも戻れば祝辺の守と同じ事が出来るのでは。そう考えて。


何かが違うのだろう。いまだ、人にも物にも。


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