表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
乱雲山編
122/1571

5-49 お肉だぁ。


兎が五羽、罠にかかった。傷がなく、毛並みも良い。良い品になる。他の食べ物と、換えられるだろう。


カノシシ、大物だ。こちらも良い毛並み。締まっていて、うまそうだ。



それはそうと、驚いた。賢い犬だと思っていたが、ここまでとは。少し教えただけで、猟に強くなった。加えて、力もある。



「頼りにしているぞ、シゲコ。」


「ワン。」 ハイ。




「おかえり、シゲ。大猟だなぁ。」


「シゲコが、良く働いた。」


「そうか。偉いぞ、シゲコ。」


「ワン。」 エッヘン。




シンに、イチのことを話した。飯田の、長の孫だという。十一で春、十二になるそうだ。子じゃないか。


飯田か。あの長、悪いからなぁ。イチには悪いが、関わりたくない。


「オレ、イチの気持ち。分かるよ、少し。」



そうだよな。イチは真っぐで、良い子だ。年は、ごまかしていたが。もうすぐ十二になるなら、許すか。


それに、飯田の長と狩り人は、うまくいってない。そう聞いた。いくらイチが良い子でも、悩むだろう。狩り人にして、良いものか。一人で出るしか、無かったのかもしれない。



「飯田の長とは、関わりたくない。でも、あの長。兎の肉、好きなんだ。」


そういうことなら、当てにしよう。少しでも多く、蓄えたい。この山は冷える。稲が育つとは、限らない。二年? 三年? かかるだろうな。




「見晴らし、良くなったなぁ。」


一本切るのも大事おおごとだ。なのに、二本も。


「おかえり。大猟だな。」


「ああ。シゲコが、良く働いた。」


「そうか! イイコ、イイコ。」


ノリに撫でられ、ブンブンと尾を振っている。そのうち、取れるんじゃないか?




「たんと、おあがり。」


子らが、おいしそうに食べている。干し肉じゃない。はじめて食べる、柔らかい肉。


早稲じゃ狩っても、狩っても、横取りされる。だから、干し肉にした。干し肉なら、長く食べられる。肉だけじゃない、魚も干した。



子は宝だ。大きく、強く、育ってくれ。決して、ひもじい思いをさせない。させたくない。


セツはもう、いない。でも、オレは一人じゃない。助け合えば、冬だって越せる。必ず、良い村にするんだ。


釜戸社の、祝から許されたんだ。攻められれば戦い、守ることを許された村。守ろう。子らのために。



「うぅ、うまい。うまいよ。」


肉を頬張り、シンが言う。お前は食べてただろう、肉。何度か、持って行ったぞ。


「オレさ。肉、好きなんだ。」


そう、みたいだな。


「みんな。しっかり食べて、大きくなれよ。」


「はぁい。」


まぁ、いいか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ