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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1217/1593

14-8 背筋ピーン


死んでおにになると根の国へ行き、裁きを受ける。人のときへ戻るのは、罪を償い許されてから。なのだが根の国へ行かず、人の世でアレコレする隠が増えた。


その多くが真中まなか七国ななくにで生まれ、死んだ隠。



中の東国にがしくにで妖怪のイザコザ、国と国のアレコレを裁くのは乱雲山。霧雲山では無い。


分かり易く言えば大貝山おおかいやま具志古ぐしこ越道山こしみちやま津久間つくま斑毛山まだらげやまは地方裁判所。


おそれ山、神成山かみなりやま、霧雲山は高等裁判所。


乱雲山は最高裁判所。



真中の七国からドッと押し寄せる隠を捕らえ、地裁に送るのは神に仕える隠や妖怪。


バンバン裁いて根の国へ送るが、扱いに困る隠は高裁へ。高裁でババンと裁かれ根の国へ放り込まれるが、扱いに困る隠は最高裁へ送られる。


で、根の国へ叩き込まれマス。



このたびの事、数が多過ぎて祝も禰宜ねぎもフラッフラ。山を挙げて支えているが、このままでは揃ってバタンと倒れてしまう。






「中の東国で近近ちかぢか大祓おおはらえり行われます。許し無く人の世にとどまる隠は皆、裁かれる事なくはらい清められるでしょう。」


そうなれば戻れないし、次を生きる事も出来ない。


「今のトコロ、人の世から隠の世へ行く隠は居ません。けれどいづれ。そうなれば、お分かりですね。」


隠の世が閉ざされれば、決まりを守って真面目に生きる隠や妖怪が迷惑をこうむる。


「ハイッ。」


御嶽神みやけのかみの使わしめもり、背筋ピーン。






困った! アチコチで闇が噴き出し、溢れた時もギリギリだった。


あれから数多あまたの神が御隠れ遊ばし、真中の七国で大祓など・・・・・・。執り行えるのか?



いや執り行わねば、きっと恐ろしい事になる。


中の東国に行けないと知った隠たちが、次に向かうなら南国みなのくにか四つ国。その次に向かうのはしづめの東国。


何れも迷わず閉ざすだろう。



「・・・・・・、・・・・・・ますか?」


「ヒャイ。」


「数多の神が御隠れ遊ばし、御困りでしょう。」


おっしゃる通りで御座います。」


シュン。


「真中の七国と中の東国のさかいに、妖怪の国守が集められました。あっ、始まりましたネ。」




御嶽みたけからにおの海を望む地は、中の東国も見渡せる絶景スポット。


真中の七国から出た隠たちが纏めて、妖怪の国守に成敗される。と同時に大祓の儀が始まり、東の空がパァっと明るくなった。


鳰の海がキラキラ輝き、ウットリするホド美しい。



御力をふるわれるのは津久間神つくまのかみ大貝神おおかいのかみ具志古神ぐしこのかみ渦風神うずかぜのかみ高志神こしのかみ斑神まだらのかみ火炎神ほむらのかみ山守神やまもりのかみ悪取神あとりのかみの九柱。




「ギャッ。」


中の東国に近づけば消える。瞬時に気付いた隠たちが戻ろうとするが、思うように動けず消滅。絹を裂くような悲鳴が、垨の頭にガンガン響く。


「ワン。」 ウゴカナイデ。


せつが右の前足で、垨のひたいをポンと押した。


「あぁぁ。」


闇がグングン吸い出され、スゥっと楽になる。






・・・・・・あれ?


「も、垨ぃ。」


パチクリ。


「御嶽神、御気を確かに。」


「痛いトコロは、食べたい物は。」


「はい、御座いません。ありがとうございます。


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