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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1215/1592

14-6 勝つためなら


死ぬのかな、いや死ぬ。


大王おおきみ大臣おおおみも何を考えているのだろう。中の東国ひがしくには強い。近海おうみとか大浦とか、岸下きしたとか氛冶ふやとか万十まととかイロイロ。


新しい国だが明里あかりってのは、近づいたダケで殺される。そう聞いた。






「はぁ。」


このままココに居ても、きっと長く生きられない。でも舟に乗せられ、遠くの地で死ぬのは嫌だ。


「喜べ。いくさに勝てば腹が破れるまで、美味うまい物が食えるぞ。」


真中まなか七国ななくにはドコもギリギリ。中の西国にしくには、どうだろう。豊かなのは中の東国だけど、どう考えても勝てない。


「どうした。」


ドウもコウもナイよ。






多紀たきに連なる御山は多いが、御嶽みたけ御坐おわ御嶽神みたけのかみは戦嫌い。


使わしめもりは兎の妖怪。日課は人に化け、山を荒らす生き物を谷底に蹴落とす事。言うまでもなく、その大半が人間。



モチロン治めの神で在らせられる、多紀神から御許しをいただいてマス。思い切りピョンピョン出来るヨ。




「戦に勝ちたいだ? ハッ。」


後ろ足をテシテシしながら毒づく。


「見りゃ分かるだろう、山神だ。」


叶うかドウかは知らんが、願うなら軍神いくさがみに願え。


「ゲッ、また来た。」


見た目は可愛い兎チャン。ピョンと跳ねてから、思い切り蹴り落とす。蹴って蹴って蹴って、また蹴った。




「ふぅ。まっ、こんなモンかな。」


におの海を一望できる、開けた地で一休み。


「♪ 高く大きな御山には いろんなモフモフ住んでいて 清らな心で生きてます♪」


多紀のテーマソングを熱唱。


「ヨシ、戻ろう。」



真中の七国と呼ばれるようになってから、数多あまたの神が現れ出られ御隠れ遊ばす。


人のときでは多紀神たきのかみが治めて御出でだが、人がヒョイヒョイ登って良い山では無い。なのにドンドン、バンバン押し寄せる。



「ん。」


人では無い。けれど、この感じ。



確か中の東国、霧雲山の統べる地にそびえる天霧山あまぎりやま。そのいただき矢弦神やつるのかみが御坐す。


社の離れには祝が居て、その祝に仕える忍びが『雲』。隠や妖怪など、見えないものを見る力を生まれ持つ。人なのに恐ろしく強く、熊でも軽く倒すとか何とか。



「忍びですが、雲ではアリマセン。」


あれ、もしかして。


「はい、聞こえます。先触れも無くうかがい、申し訳ありません。伊弉冉尊いざなみのみことより言伝ことづてを預かり、参りました。ひろの隠頭、ほうです。」


ニコリ。


「・・・・・・ね、根の国に御坐す。」


「はい。」






ウッカリしていた。


バンバン蹴り落として片付けたアレが、直ぐに死なずに闇堕ちしながら根の国へ。で、大騒ぎ。


『このまま人の世に戻れば、きっと戦に勝てる。だから今すぐ、根の国から出せ』だ?



何を考えている。


死んだんだ、隠になったんだ。裁きを受けて罪を償い、許されるまで戻れない。なのにイロイロすっ飛ばし、戦に出たいと。そう言うのか。



「申し訳ありません。」


これからはキッチリやって、確かめてから送ります。


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