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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1213/1591

14-4 言わないで


中つ国と根の国のさかいに、三つの神倉ほくらが建てられた。


耶万やまの神倉に納められているのは、人の世で『王のつるぎ』と呼ばれる闇喰らいの剣。別名、叢闇剣むらやみのつるぎ



叢闇の名を持つしなは全て、海を渡ってきたモノ。


はじまりの隠神で在らせられる大蛇神おろちのかみにも、アンリエヌの化け王にも消滅させられない危険物が大貝神おおかいのかみの使わしめ、土の糸で巻かれて安置されている。



見張りを務めるのは子蜘蛛たち。


夜勤、早番、日勤、遅番の四交替制。有事の際に緊急対応、掩護えんご、応援要請するため必ず、三妖で任務にあたる。


洞穴ほらあな内に設けられた詰所つめしょからは、伝声管ならぬ伝声糸が大貝社おおかいのやしろのみならず、和山社なぎやまのやしろにまで延びてマス。






津久間社つくまのやしろ悪取社あとりのやしろにも使いを出しました。」


エッヘン。


「ウム。では引き続き。」


「はい。お任せください。」


胸を叩くツモリが腹を叩き、ぽよよん。幼児体型? 言わないで。



「土。使い蜘蛛を悦と光江、吹出山ふきでやまへも向かわせよ。」


「ハイッ。」






吹出山のいただきには『叢闇品を納めている』と思わせるため、からの神倉が建てられた。保全管理をになうのは吹出の社憑き、ウコと愉快な黒狼たち。


普段ふだんふもとにある社ではなく、吹出山で生活している。



ウコは妖怪の黒狼、黒狼族のおさ。どんな時も群れを率いて行動する。


詳細ははぶくがウッカリ食いかけたのが吹出神ふきでのかみで、使わしめ羽葉うばに本気を出させてしまった。



当時の黒狼はフラフラで、戦う力など残ってイナイ。対する烏は元気いっぱい。戦えばドウなるか、火を見るよりも明らか。


ウコは助命の対価として社憑きとして働いているが、裏切れば・・・・・・極刑。烏の大群に突き殺されマス。






「そう、ですか。」


使い蜘蛛から話を聞いたウコ。その頭上には、無数の疑問符が浮かんでいる。


「何か、気になる事でも。」


使い蜘蛛に問われ、キリッ。


「吹出山の北にある大野、川向こうにある安とうねの動きが気になります。狩り人やきこりに化けて、この辺りをウロウロしているのを見掛けました。」






吹出神の使わしめ、羽葉は大烏の妖怪。やまいぬに食われそうになっていた何かを助けたら、何とビックリ神様でした。


そのまま放っておけず、吹出神の使わしめとして社に就職。



黒狼の数は少ないが烏の数は多く、おにと妖怪がついになって巡回。不審者を発見すると隠烏が攻撃、妖烏が援護を担う。


魂をつつくダケで殺しはシナイ。


そのさまを見た黒狼は静かに離れ、そのくちばしに怯える。裏切れば一族郎党、皆殺しの刑だからネ。






「烏に突かれて穴が開いても、闇が埋めるので見れば判ります。采に安、大野の民はドロドロですよ。」


「おや、まぁ。」


ウコの話を聞き、使い蜘蛛が呟く。






叢闇剣、王の剣、闇喰らいの剣。いろんな呼び名を持つソレは、人に扱える品ではない。



納められたのは耶万の祝だったタヤと、タヤを心から慕う念珠ねずが残した隠れ。根の国から入り、大蛇神の抜け殻で作られた道を通らなければ入れない。


生者には侵入不可能。


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