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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1212/1593

14-3 お年頃


アコの顔立ち、体つきも死んだ耶万王やまのきみに瓜二つ。だから生かされたと知り、泣きそうになる。




「ありがとう。」


母、ひかるに刻まれた記憶は消えない。いつまでもアコを苦しめ、追い詰める。けれどソレは呪いでは無い。


めぐし子に強く、賢く生き抜くてだてを。おのと同じ過ちを犯さぬよう、シッカリと伝えるためにした事。


「さぁアコ。祝の先読、耶万神やまのかみに御伝えしよう。」






真中まなか七国ななくにつわものを求め、中の東国ひがしくにに仕掛ける?  やっと引いたのに何があった。


いつものが倭国しずのくにと結ぶ、のは分かる。あの国は弱いから。にしてもオカシイ、何だ。闇喰らいの品でも持ち込まれたのか。



ユイの先読は外れない。真中の兵がボロボロの舟に乗って、光江の港に入るだろう。


おかに上がって直ぐ、闇の種を植えられて死ぬ。光の雨を降らせる。




「マノ。この事、社を通して。」


「はい、耶万神。」




耶万神の使わしめ、マノは黒蛇のおに。使い蛇を向かわせ、己は腰麻こしまへ急ぐ。


腰麻社こしまのやしろには妖怪の祝、ユキが居る。闇蛇ユラも妖怪。他の蛇には任せられない。



妖怪の国守は少なく、その多くが地の国つ神に仕える。けれど会岐あき、大石、加津、千砂ちさは結んだ。


腰麻は社を通して繋がっているので、知り得た事を隠さず伝える。万が一に備えるために。




「そうですか。」


驚きはシナイけど、懲りないわね。纏めて根絶やしにすれば良いのに。


「ユキ、抑えて。」


ユラにたしなめられ、ハッとする。


「口に。」


「顔に出てた。」


・・・・・・ポッ。


「マノさま。お知らせくださり、ありがとうございました。」


ニコッ。


「はい。では、また。」






腰麻社を通って向かうのは、耶万社ではナク大貝社おおかいのやしろ


耶万は大貝山の統べる地に在るので、和山社なぎやまのやしろうかがう前に御知らせせねばナラナイ。




「ホウ。」


真中の七国は戦狂い。数多あまたの神が御隠れ遊ばし、現れ出られるのは軍神いくさがみ。ではナク御饌津神みけつかみ


『食べ物が欲しい』と望まれたのに、『戦に勝ちたい』と願われる。いや聞いてナイよ。とは言えず、そのまま御隠れ遊ばすトカ何とか。


「この地に攻め込むと言うのなら、どんどんバンバンやってしまえ。」




大貝神おおかいのかみの使わしめ、土は地蜘蛛の大妖怪。細長い袋状の巣を作るのが上手うまい。その袋を開いて縫い合わせ、袖ナシの外套がいとうを作成。


ソレをひるがえし、アチコチ指差される。



代替わり為さった大貝神は今、ちょっびり患って御出でデス。


お年頃ってヤツだね。南を指差し、フフン。




「ハッ。」


いろいろ察したマノ。蜷局とぐろを巻き直し、一礼してからシュルシュルと退出。






「土、思いを届ける。コレへ。」


「はい。」


和山社まで延びている伝声管。ではナク伝声糸を差し出し、心の中で拍手喝采はくしゅかっさい


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