表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
七国統一編
1210/1593

14-1 来世では

新章スタート!


真中まなか七国ななくに、戦国時代に突入。つわものを求め、中の東国ひがしくにに派兵する。糸を引くのは毎度おなじみ悦、うね、大野、光江、安の破落戸ごろつきども。


耶万やまのアコが力をふるい、真中の七国に光の雨が降る。けれどアチコチから闇が噴き出し、さぁタイヘン。引き寄せられるように集まるのは悪いヤツだけじゃ無い。


闇喰らいの品ダケでも厄介なのに憑物、怨霊まで出てきたよ。



七国統一編、はじまります。



真中の七国には七つの国が在る。笠国かさのくに駒国こまのくに剛国こうのくに倭国しずのくに瀬国いわたのくに飛国とのくに保国たもつくにだ。


いづれも山に囲まれており、獣が多い。



当たり前のようにいくさを仕掛け、攻め込むのでむくろついばむ烏がむらがり、人が焼けた匂いが立ちめる。


うつるやまいが流れ、食べ物も少なく、『お腹いっぱい食べる』なんて夢のまた夢。


そんな地に生まれ、死と向かい合う人たち。






「はら、へった。」


言の葉にしても食べ物は出ない。それでも、分かっていても口にせずにはイラレナイ。


「もう嫌だ。」


ガリガリにせた幼子おさなごが呟く。




死んだ親が言っていた。中の東国の真中には霧雲山の統べる地があり、治めるのはきみでも大王おおきみでもナク祝辺はふりべもり


人のおさは人の守とも呼ばれ、死ぬとおにの守になって力をふるい続けると。



霧雲山の統べる地は中の東国の真中に在って、平たい地は少ないのに食べ物が良く育つ。山にも川にも美味おいしいモノがイッパイあって、飢える事も凍える事も無い。


周りも同じで皆、幸せに暮らしている。




「死ぬのかなぁ。」


七つの国がいくさを始めた。若い男が集められ、兵にされる。


「カラカラだ。」


田んぼに引く水が無い。川や泉に毒が投げ込まれ、使えなくなったから。


「ココも。」


隣みたいに、助け合えば良いのに。




中の東国を統べるのは霧雲山、神成かみなり山、おそれ山、越道こしみち山、斑毛まだらげ山、大貝山、津久間、具志古ぐしこ


八つの地には神が御坐おわし、強い祝の力を持つ人が仕えている。



統べる地には多くの国があるが、人のおさやしろの司。霧雲山だけ人の守が長を務めるトカ何とか。




「行ってみたい。」


伸ばした手が土を叩き、そのまま動かなくなった。息はしている。けれど、そのうち。






真中の七国ななくにではナク中の東国に生まれていたら、いろいろ違っていただろう。


親に守られスクスク育ち、生きるてだてを学ぶ。誰かと契って親になり、生まれた子を慈しみ育てる。その子が親になって孫を抱く。



当たり前の暮らしが当たり前では無い。そんな地に生まれたから親無しになり、飢えて乾いて死ぬ。


誰にも葬られず、転がる骸を獣が食らう。






「カァ、カァ。」 ソロソロ、ツイバムカ。


枯れ木に止まる烏が狙うのは、ドロンとした幼子の目。


「カァ。」 マテ。




あるじを失った狩り犬が、コチラをジッと見ている。


死を待つ幼子に近づけば噛みつかれ、そのまま食われるだろう。




「ぁ・・・・・・。」


目から光が消えた。






霧雲山の統べる地には強くて賢い王が居て、王の上に大王、大王の上に祝辺の守と呼ばれる人の長が居る。


人の守が人の長で、死ぬと隠の守になって守ってくれるんだ。


美味おいしい食べ物がイッパイあって、病をいやす薬もあって、みんな笑って暮らしている。



母さん、父さん。姉さん兄さん。みんなで霧雲山へ行こうよ。


きっと幸せに暮らせるよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ