表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新生編
1209/1594

13-56 誓い


やまとのほらから祝辺はふりべへ。その深部と山守を行き来しながら、『山守断種計画』を続行。




やしろの司。山守の地を守るには、山守神やまもりのかみにぃ?」


「ん、何だ。」


「いけ、生贄いけにえをささささっ。」


「ササササ?」




村に戻ったつわものの多くが殺し合い、むくろとなった。数えるホドしか生き残らなかったが、その一人が山守の社の司に直談判じかだんぱん


その結果、カヨの呪い発動。




多鹿たかに手を出せば殺されるぅ。」


相打ちさせる呪いだが、一人だったので自害。持っていた石器で首筋を切り、血の雨を降らせた。


「オイって、エッ。」


駆け付けた狩頭かりがしらが、骸を見て固まる。


「社の前で、こんなコト。」


骸のそばで膝をつき、頭をかかえた。


「狩頭。山守で動けるのは、もう。」


「はい、社の司。幼子おさなごに狩りを教えます。」






山守の村に残った大人は、狩頭を入れて二人。


あの村長むらおさに逆らえず、兵になった男たち。守りたかった人は死に、残された子を育てようと決めた。のだが。




「恐ろしい。」


他からさらおうとか、誰かをなぶろうとは思わない。けれどおのに流れる山守の血が、いつか。


そう考えると怖くて怖くて死にたくなる。


「考えるな、ソダ。」


「けどよぉ、狩頭。」


「社の人が居るが、村で動けるのはオレたちダケ。」


「・・・・・・はい。」


ソダは若いきこり。父母の考えが理解できず、家を飛び出して村外れで暮らしていた。


「幼子が育つまで、まだ時が掛かる。生き残った者の務めを果たそう。それが死んだ者へのとむらいになる、そう信じて生きるんだ。」




叶うなら山守を出て、山越で暮らしたい。けれど今、逃げ出せば子らが苦しむ。


己に出来る事は少ないが、山を育てるアレコレを教え、良い樵に育てよう。



他の里や村を襲ったり、攫おうと考えない。そんな人に育てば暮らし易くなる。子が生まれ、少しづつ増えて豊かになる。


それまで生きられるかドウか分からないが、他のヤツらと同じように死ぬのは嫌だ。




「心を強く持て。」


「ハイッ。」




狩頭は強い。死んだヤツらは『弱い』とか『頼りない』とか言っていたが違う。


アレだけ攻められ、逃げ帰ったのに戻れた。



狩頭の言うことを聞かず、突っ走ったヤツは死んだ。狩頭を悪く言うのも居たが、生き残ったのは言い付けを守ったヤツら。


村に戻ってから死んだケド。




「狩頭、オレ生きます。長く生きます。子らにイロイロ教えて、呪いにも負けません。」


「力を合わせて、生き抜こう。」


「はい。」






ふぅん。山守の民にも良いの、居たんだ。呪い種は植わっているケド、まだ芽吹いてイナイ。これからドウなるか分からない。


でも、このまま生きて欲しいな。




「ワッ、危ない。」


山守の村を清めるため、大祓おおはらえが始まった。


大急ぎで離れ、鎮森に逃げ込んだカヨ。そのまま大岩の洞に戻り、一息つく。


「ふぅ。間に合って良かった。」


消えちゃったら、もう歌えないモン。


「ティ、見守っていてね。」


きっと誰かの力に、助けになる。そう信じて歌うから。






大岩近くの大木おおきから、ブランが音も無く飛び立つ。鎮森の民に見守られて。


洞の奥からカヨの歌声が聞こえると皆、穏やかな表情に戻った。



新生編でした。七国統一編に続きます。お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ