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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新生編
1208/1591

13-55 もう迷いません


とつ守に見守ると言われ、カヨの表情が明るくなった。



祝辺はふりべの、他の守がドウなのか分からない。けれど山守より霧山を、祝辺より鎮森しづめもりを守ろうとするおにの守に認められたのだ。


ほんの少しでも心が軽くなるのは当たり前。






「山守は、もう良いか。」


山守のたみにはタップリと、闇の種を植え付けた。


戻ったつわものも片付いたし、狩頭かりがしらは他と違って生き残りを育てようとしている。


「となると。」


次に狙うは山越の民。


祝辺の民にも闇の種を植えたいが、とつ守が見捨てるまで待つ。


「ん。」


この感じ。



大岩のほらから顔を出し安全確認。スルスルと岩の上に移動し、周囲を見回す。



「あれ?」


何かに見つめられている。そんな気がするのに、その姿を見る事が出来ない。


「思い違い。」


では無い。パチパチまばたきしてから目をこすり、クワッと見開く。


「アッ。」


赤い目をした白い鷲に見つめられ、ドキリ。




大きな力に守られている。はじまりの隠神。いや、もっと強い何か。となると化け王のおみ、ブランさま。


ずっと昔に聞いた。霧雲山の全てと、山裾の地を見張っていると。



どうする。山守の民を根絶やしに、と考えて動いた事が知られたのか。それは化け王の御考え、御望みでは無いなら。


だとしても変えられない。




「わ、私は。」


おのと同じ苦しみを、あんな思いを他の誰にも味わわせたくない。だから他からさらった人をなぶり殺さなければ一つに纏まらない、そんな山守の民を根絶やしに。


そう考えた。



人を呪い殺すのだ、悪い事なのだろう。それでも止められない。


山守の民を生かせば、きっと同じ事を繰り返す。他から攫って嬲って、言えないようなアレコレを。


だから男を、山守の民を根絶やしにすると決めた。




「もう迷いません。」


カヨがブランの目を見て、断言する。






山守の民を根絶やしに、か。


他に移り住んだ民も片付けるのだろう。祝辺の守がドウ動くか気になるが、とつ守が認めたなら消される事は無い。



根腐れを起こせば除け、土に手を入れねば育たぬ。ソレを遣って退けるなら闇でも呪いでも、使えるモノは何でも使うさ。




「戻れ、ブラン。」


「はい。」




カー様はエン様が愛した地を、この山を守ろうと御考えだ。アンリエヌに組み込めば楽なのに、そう為さらないのは『見守る』と御決め遊ばしたから。


人の守を霧雲山の統べる地のおさに据え、隠の守を動かしたのは己らで守らせるため。考えさせるため。






「き、えた。」


ブランが翼を広げる事なく、その姿を消す。


「はぁぁ。」


ヨロヨロ、ペタン。


「ヨシ! 続けよう。」




祝辺の奥深く、ひとや祝社はふりのやしろをクルクルしながら探る。それから山守へ向かい、闇の濃さや深さを確かめながら呪いを強めよう。


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