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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新生編
1206/1592

13-53 弔いなら


言い付けを守らず明日あびは、ティに乗っ取られたセイに駆け寄った。体を奪われ、ティ小と一つになるために狩山かやまを出る。



ティは琴を明日に譲った。今でも、そう思う。


あのほらはらい清められ、もう近づけない。けれどティ小のうたは、ティ小をしたっていたおにが歌い継ぐ。


それを遠くから見守っていると。






「明日のむくろほうむれない。でも、テイのとむらいなら。」


カヨが洞の奥から地に潜り、テイの魂を探しに出た。






鎮森しづめもりは心の強さや力を厳しく試す、人を通さない森。社は無い。


入ってきた人を生かすか殺すか決めるのも、人の守を選ぶのも、祝辺はふりべの継ぐ子を選ぶのも鎮森のたみ



生まれ育った地に戻れなかった隠、人のときとどまると決めた隠が暮らす。それが鎮森。




テイは祝辺のひとやで、狐火に焼かれて死んだ。消えて無くなった。だから残っている、カモしれない。


ほんの少しで良い。テイの思いが木や砂、草や花に宿やどっていれば弔える。






「祝辺の獄は、違うな。」


入るとアブナイので、外からグルッと見て引っ込んだ。


祝社はふりのやしろも違う。」


キョロキョロ、スッ。


「祝辺は、っと。」


スゥイ、スイスイ。


「うん、無い。」


ススイ、スイ。






テイから切り取られ、崖下に落とされた闇。それがまとまり、融け合って生まれたのがティ小たち。


本ティとティあん、分ティは狐火で焼かれて消滅したが、他の闇は違う。



喰谷くたに山の洞でフサに破れ、消滅したティ。梅の湖でシナに破れ、消滅した小ティ。流離なば山の洞で分ティに急襲されたティ小。






「あった。」


アチコチ探し回り、やっと見つけた。




ヴァンの他にも闇を植え付けられ、苦しんだ獣がいた。そのむくろが鎮森で朽ち果て、引き寄せ合って結晶化。水玉すいぎょくとなる。


煙水晶のように妖しく、ズッシリしているが小さい。




「巻き込んでしまって、ごめんなさい。」


コロンとした石をで、心から謝罪した。


「弔いを頼むなら、山守より祝辺よね。」


石を持ち上げ、そのまま祝社へ向かう。






「あれ? 石が動いている。」


ふたつ守が目を丸くした。


「待て待て待てぇ。」


みつ守が追いかける。


「コレっ。」


ひとつ守に捕まり、シュン。


「あれは鎮森の石。隠の守が引き寄せているか、何かが運んでいるのでしょう。」


大当たり!


「じゃぁ、あの石を」


「イケマセン。」


隠の守なら誰でも良い、というワケでは無いんだよ。


「はぁい。」


仲良く並んで、ニコリと笑った。それからタッと駆け出し、二手ふたてに分かれて犬を捕らえる。


「ひとつ守、の犬です。清めてください。」


「・・・・・・分かりました。八を、ここへ。」


「ハイッ。」


「お任せください。」


キリッ。


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