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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新生編
1203/1591

13-50 上手いモンだな


山守のたみなぶられ、殺されたおにいだくソレは濃い。はらっても祓っても祓い切れない。そんな闇が、ほんの少し薄くなった。



「調べるか。いや、そう。」


山守の社の司が立ち上がり、離れから出た。


鎮森しづめもりの奥で何が起きたのか。分からないが、きっと悪い事では無い。




多鹿たかに手を出せば殺されるぅ。」



・・・・・・ん。



「おや、早かったね。」


「シズエさま。」


「アレは呪いさ。呪い種を吸い込み、ソレが芽吹めぶいて根を張った。」


「という事は、山守社やまもりのやしろの人も。」




山守に限らず、社で暮らす人は守られている。呪われる事は無い。のだが、この呪いはカヨのモノ。


テイを呪い祝に変え、多くの命を奪った強い呪いだ。気を抜けば祝の力を持っていても死ぬ。




「御山から出ねば、他から奪おうと思わなければ生きられる。」


モフン。


「そう、ですか。」




山守の民が多く死に、生き残ったのは嬰児みどりご幼子おさなご。あの子らが十二になったら、同じように死ぬのだろうか。殺し合うのだろうか。



呪い。呪い種は山守の民を、山越の民も消してしまおう。殺してしまおうと考えている。なら、私に出来る事は何だ。


生き残った子らを守り、みちびくコト。




「落ち着けば動く。それまでは、分かるな。」


「はい。」




呪い種は鎮森に潜んでいる。祝辺はふりべもりは知っていて、いや認めているのだろう。人の守ではナクおにの守、とつ守かな。



あの守は祝辺では無く、生まれ育った霧山きりやまを守るために動くそうだ。


鎮森の民となったツルさま。山守社の、はじまりの祝からうかがった話だ。まことだろう。






「♪ 諦めず出来ることをして うつむかず上を向いたなら 何か良い事が起こる そんな気がするのよ 泣いてはイラレナイ♪」


大岩のほらで琴を弾きながら、楽しそうに歌うカヨ。鎮森の民もノリノリ。



「ティ小のうた。」


上手うまいモンだな。


「それにしても。」


来るたびに明るく、過ごしやすくなっている。




矢弦社やつるのやしろの忍び、雲が微笑む。



天霧山あまぎりやまにも明るい隠が居るが、琴を弾きながら歌う隠は少ない。ティ小のうたを教えたら、きっと喜んで歌うだろう。


けれど、その前に片付けなければ。




「ツルさま、こんばんは。」


「こんばんは、忍びさん。」



雲は他の忍びと違い、見えないモノを見る目を生まれ持つ。だから人にしか出来ない、叶えられないアレコレを頼む事がある。



「良い夜ですね。」


光の子は皆、ノビノビ暮らしています。


「はい。とても過ごし易く、気持ちが良い。」


ありがとう。幸せそうで、ホッとしました。


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