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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新生編
1201/1590

13-48 見守りましょう


山守のたみが大泉、鎮野しづめのに仕掛ける事は無い。と思われているが違う。強い祝の力を求め、幾年いくとせか先に攻め込む。




「光の子。」


数多あまたの力と、人とは違う力を受け継ぐ娘。


「先見さま。」


御婆おばばさま、この事は。」


「はい。この胸に。」






鎮野には『先見さま』と呼ばれる娘が居る。母から娘に受け継がれる、強い先見の力を持つ娘が。


その代償か老化が早く、二十歳前後で死亡する事が多い。


名はいつよしのぶの順に付けられ、『御婆さま』と呼ばれる養育係に守られ育つ。



成人までに娘の父を選び、先見の力を受け継ぐ子を産み育てなければナラナイが、幼馴染おさななじみちぎる事が多い。






よみ、このまま聞いてください。」


御婆さまは引退した社の司、禰宜ねぎ、祝の中から選ばれる。当代は元、祝で心の声が聞こえる榦。


「はい、齋さま。」


「山守の民が呪い種、多鹿たかのカヨに呪われました。嬰児みどりご幼子おさなごは生き残りましたが、強く呪われています。」


「それは・・・・・・その。」


「山守の社の司と禰宜が代わり合って、十二になるまで育てるでしょう。」


「はい。」


「許し無く山を下りた民は、戻って直ぐに呪われ殺し合う。ソレを見た幼子が、育った嬰児に言い聞かせるのです。『多鹿に手を出せば殺される』と。」


ゾゾゾッ。



「祝、聞きましたね。」


「は、ハイッ。」






鎮野社しづめのやしろの祝は御神木に選ばれた『声の子』で、心の声が聞こえる元、継ぐ子。聞き耳を立てなくてもバッチリ聞こえマス。


聞いたのは『山守の民が呪い種』の辺りからデスが、冷や汗が止まりません。



先見さまは別格。社の司や禰宜、祝でも緊張してしまう。そんな御人に『聞きましたね』と問われ、とぼけたり嘘をいたり出来ませんヨ。


全て見ちゃってマスから。






「とつ守に気を付けるように。」


「はい。」




とつ守は草木の声が聞こえる隠の守で、鎮森しづめもりの民に寄り添う祝人はふりと。名はサヤだったカナ。


霧山社きりやまのやしろの継ぐ子だったのに、霧山を守るために祝社はふりのやしろに移った。



『木の子』より多く聞こえる、とても優しい力。なのに恐ろしい。鷹や鷲でも怖いのに木菟ずく、それも大きくて強い鷲鵂わしみみずくに守られている。ブルル。


言われなくても気を付けます。




「先見さま。鎮森の民が山守社やまもりのやしろの奥、大岩の辺りに集まっていると禰宜から聞きました。」


「はい。」


「闇がおにを集め、何かを。よろしいのでしょうか。」


「はい。皆で集まり、楽しく過ごしているのです。悪い事ですか?」


「いいえ。」


「山守の民と鎮森の民は違います。見守りましょう。」


「はい。」


祝が一礼して、スッと下がった。






齋は鎮野から出た事が無い。けれど叶うなら、カヨの琴と歌を聞いてみたい。そう思っている。



ティ小は消えてしまった。けれど、その作品は愛され続けるだろう。


これからも、ずっと。


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