表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新生編
1196/1589

13-43 何を見た


カヨに呪い種を植え付けられたテイははらい清められ、すっかり消えて無くなった。呪い祝は、もう居ない。


なのに山守の民は変わらず、生贄いけにえ人柱ひとはしらを求め続ける。



中には山守から山越に逃げ出し、ヒッソリと暮らす者も居るが信じきれない。


その体に流れる山守の血が騒ぐ、かも知れないから。






「うふふ。」


偉山おおやまの男、まとめて片付けちゃった。


「同じ事を山守で。」


そうすれば、きっと多くの女が救われる。



大岩のほらに戻ったカヨが、ポワポワ跳ねながらクルンと回る。それから琴を手に取り、ポロロンとかなでた。



「♪ 出来ない 決めつけられて苦しんだ それでも諦めない♪」


ジャン、ジャン。


「♪ これまで積み上げてきた事が いつかは実を結ぶから♪」




大岩の洞にカヨが戻った。


知らせを聞いた鎮森しづめもりたみは、ウキウキしながらつどう。その中には、とつ守の姿も。




「♪ 信じよう その手に掴むまで 後ろじゃなく前を向き走れ 叶えると決めた その時に 目の前に道が開けるもの♪」






カヨは心の底から願っている。山守から山守の民と、山越の民を根絶やしにする事を。


祝社はふりのやしろで暮らすもりの中にも、カヨと同じ願いを抱くおにがチラホラ。



「フッ。」


先読の力を持つ、ここのつ守が笑った。


「あれ? とつ守と同じ顔だ。」


みつ守がポツリ。


「悪い顔だ。」


ふたつ守、パチクリ。


「二隠とも、のぞき見はイケマセンよ。」


「はい、ひとつ守。」


揃って微笑み、一礼してから下がった。






ここのつ守は隠になっても、とつ守の親代わりを務める。


とつ守は近くに緑があれば、どんなに強い呪いも跳ね返す。それに霧山神きりやまのかみの使わしめ、ホッホに守られているのだ。他の隠より強い。



それでも力をふるうのは、とつ守が危ういから。という事だろう。


目を離せば、考えられないようなアレコレを整える。迷い無く遣って退ける、そう思うから。






「何を見たのか、聞かせてください。」


ひとつ守にズズイとせまられ、ここのつ守が見開く。


「悪い事ではアリマセン。」


祝辺はふりべには。


「ホウホウ、言えないようなコトが起こると。」


「いいえ、違います。」


いや、違わないか。


「で、何が起こるのですか。」




ここのつ守の力は強いが、親から子へ引き継がれるモノより弱い。タエのように選んでえらんで、より良いすえさぐるとひどく疲れてしまう。


だからサッと読んで考える。



カヨが行う、と思われる事。


祝社、いや山守を良くするキッカケになるだろう。けれど多くの血が流れ、人がグンと減るのだ。手放しで喜ぶ事は出来ない。




「それは、その。」


言えない。山守の民が、多くの民が死ぬなんて。


「山守の民が山を下り、他から。となると隠れ里。」


ゴクリ。


「そうですか、遠くの。となると熱吹ねぶき、いや多鹿たか。」


ビクッ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ