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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新生編
1185/1588

13-32 偉山か


とつもりは呪い種になってしまった、多鹿たかのカヨをドウコウする気は無い。


叶うなら、ずっと。そう思っている。



もし清めの力を持つ誰かが力をふるっても、カヨが暮らす大岩は鎮森しづめもりに守られているのでビクともシナイ。だから、ひとつ守に確かめた。



おにの守をたばねているのは、人の守ではナクひとつ守。ひとつ守に任された事は、人の守でも動かせない。


カヨが暮らす大岩を守るのは、とつ守と鎮森の民。トンデモナイ何かが起きぬ限り、カヨが害される事は無い。ハズ。






「ひとつ守、よろしいか。」


ここのつ守が声を掛ける。


「はい。」



ここのつの守は先読の力を持つ元、継ぐ子。とつ守を祝辺はふりべへ迎えた事で親代わりとなり、隠になっても世話を焼いている。


その守が、とても恐ろしい末を見た。



「それはまことですか! いえ、そうなのですね。」


「はい。」



とつ守を止めれば、偉山おおやまから闇が溢れる。集谷あだに燠山おきやま深山みやまも守られるが、白露湖と梅の湖はドウだろう。



白露湖は閉ざされている。けれど梅の湖には烈川たけがわ、烈川には西望川にもちがわが流れ込む。列川は喰谷山くたにやまを通っているから、偉山の闇が流れ込めば大事おおごとになる。


喰隠くおひろの里は守られても他は。人里は無いが獣は、闇に慣れていてもドウなるか。



「偉山か。」


あの山はひどい。酷いが他の山、手を出せぬ。その山に呪い種を植えるとは、考えたな。






ひるむな! 進め、進めぇ。」


「ハイッ。」



高盛崖たかもりがけを登る偉山の民。気分が高揚しているのか誰一人、泣き言を言わない。



白露湖から強い風にあおられ、少しづつしか登れない。そんな道を選んだ偉山の男たち。一人、また一人、その命を散らす。


それでも恐れず諦めず、多鹿を目指すのは命じられたから?



「産まぁす。」


「奪ぁう。」



ろくでも無い理由だった。






「♪ 諦めたらソコで終わり 気付いても 過ぎた時は もう戻らないさ ♪」


ティのうたが愛されるのは、その歌詞にある。のかも知れない。


「♪ 今できる事すれば良いんだ 少しづつでも前に進もう いつも どこかで誰かが見てるから 先へ先へ伸ばせ 心の翼♪」


カヨのライブは、いつも満員御礼。鎮森の民、草木も楽しそう。すみに獣も集まる。




闇でも呪い種でも静かに暮らすなら、鎮森の民として受け入れる。琴を弾こうが歌おうが、ライブを開催しようが構わない。



とつ守には人だった時、先読の力が有った。


隠の守になって失ったが、今でもカンは良い。草木がイロイロ知らせてくれるので、遠く離れたトコロで何が起きているのか、知る事が出来る。




「そうですね。」


諦めたらソコで終わり。いつも、どこかで誰かが見ている。良い事も悪い事も全て。



ザワザワ。


「ふふっ、ありがとう。」


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