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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新生編
1183/1589

13-30 悪い顔


祝社はふりのやしろは変わった。


人のもりが霧雲山の統べる地のおさに、おにの守が統べる地を守る事になったのは全て、はじまりの隠神で在らせられる大蛇神おろちのかみの御導き。


人の守は一人だが、隠の守が数多あまた。一隠一隠の力が弱くても、力を合わせれば強くなる。さわり無い。






「さて、お次は。」


山裾の地は落ち着いた。



三鶴、玉置、飯田、武田は牙を抜かれた。豊田、川北、東山、北山はキナ臭いがいくさドコロでは無い。どこかに仕掛ければ潰される。



ふもとを調べるか。」


霧雲山系の麓で暮らせるのは獣だけ。なのだが、強い祝の力を持っていれば隠れ住める。かも知れない。


「いや、その前に。」


偉山おおやまだな。




山守の民は山越の民に任せよう。


あのかんなぎに力は無いと、山越の民も知っている。山守の民を遠ざけるため、黙ると決めたのだ。口をはさむ事は無い。



呪い祝、テイが消えた。残るは呪い種、多鹿たかのカヨ。カヨの望みは山守と山越の民を根絶やしにする事。


シッカリ伝えたから、山守社やまもりのやしろの者に手を出す事は無かろう。






「おや、懲りないねぇ。」


偉山の男が舟で、逸散滝いちるだきが見える所まで来た。降りて高盛崖たかもりがけに近づき、死ぬ気で登るのだろう。


獣道けものみちは、もう無い。」


潰したからネ。






逸散滝の辺りから高盛崖を登るには、白露湖まで行かなければナラナイ。



白露湖と珠の湖の間にある道は日ごと変わるので、探るダケで日が暮れる。見つけても鳥に突かれながら、上へ上へ。


ヌルッと滑れば真っ逆さま。



双見山ふたみやまの北からも登れるが、風が強くて飛ばされる。


望月湖もちづきのみずうみと霧の湖の間にある道を探り当て、崖を登った先は迷い森。祝の力が無ければ通り抜けられない。



残るは逸散滝と流連滝いつづけだきの間。


こちらを通れるのは天霧山の雲、獣。ひろ靄山隠もやまおににも登れるが、人には難しかろう。






「・・・・・・なぜ奪う。」


偉山の男、山守の民も腐っている。






恕の隠頭、ほうは偉山の生まれ。


末娘が生まれて直ぐ、他の女が男を産んだ。契った男に裏切られ、なぶられ、生きたまま喰谷くたに山に放り込まれて死んだ。



多鹿の織り人、カヨ。


祝の力など無いのに山守の民に連れ去られ、近くの森で穢された。山守のひとやに入れられてからも穢され、死んでも腐るまで穢され続けた。


闇堕ちし、呪い種になるのは当たり前。






「今、向かっても同じか。」


カヨなら多鹿まで、スイスイ行ける。攫われる娘には悪いが一度ひとたび、多鹿から出てもらおう。



偉山のに『多鹿に手を出せば殺される』とでも叫ばせ、相打ちさせる呪い種を植えさせれば良い。上手うまく運べば山守の民にも。



「とつ守が悪い顔してるぅ。」


ふたつ守が首だけ出し、ニッ。


「悪い顔だぁ。」


みつ守も首だけ出し、ニカッ。


「はぁ。また、ですか。」


とつ守と目が合い、パチクリ。


「逃っげろぉ。」


嬉しそうに駆けだす。も、とっ捕まりシュン。


「社の中で、走ってはイケマセン。」


「はぁい。」


二隠、揃ってニッコリ。とつ守、思わず溜息。


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