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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新生編
1181/1588

13-28 蛇に睨まれた蛙


は十三代、祝辺はふりべもり。不安を増幅させ、心を操る闇の力を持つ。八男だったのでヤと名付けられた。



継ぐ子の能力低下を嘆き、ひそかに他から強い祝の力を生まれ持つ子を攫おうと画策するも、大蛇神おろちのかみの特命で動いていた嫌呂きろろ悪鬼おきにより発覚。


ひとつ守から謹慎を言い渡されたのに従わず、むつ守の力で仕置されてから喰隠くおに放り込まれエンドレス処刑。



精神崩壊ののち祝社はふりのやしろに戻され回復。とつ守に絶対服従を誓った。の、だが。






「とつ守なんぞ、ケッケッケ。」


持って生まれた性質は、そう簡単に変わらない。


「狙うは鎮野しづめの。いや、その前に大泉。」


「はぁ、八よ。」


「ゲッ、ひとつ守。」


上司に向かって『ゲッ』って、どうなのさ。






八は祝辺を、霧雲山の統べる地を守るために、強い祝の力を持つ者を集めようとしている。ワケでは無い。


おのの思い描く通りに動く守を、一隠でも多く揃えたいダケ。



むつ守に仕置され、喰隠に放り込まれた事でチョッピリ反省。良山よいやまと、大蛇神のめぐし子には手を出さぬと誓う。


こちらの誓いを破る気は無い。






「いつ、どこに狐が」


「ヒッ。」




嫌呂も悪鬼もおにとき流山ながれやまで暮らしている。常に祝辺を見張っているワケでは無い。けれど狐の目は其処彼処そこかしこに。


なんて事もナイのだが、八を震えあがらせるには十分だったようで。




「モウジワゲェ、アリマゼェン。」


喰隠で味わった地獄の責め苦を思い出し、ガタガタ震えながら小さくなった。


「分かればよろしい。」


ひとつ守が呟く。


「甘いですね。」


「とつ守。」


『とつ守』と聞き、八の肩がビクッ。




あの地獄から救い出してくれたのは、『ひとつ守』では無く『とつ守』だ。他の守とイロイロ違うが、鎮森しづめもりの民に寄り添う隠の守は元、霧山社きりやまのやしろの継ぐ子。


祝辺の守になった今も霧山神きりやまのかみの使わしめ、ホッホが見守っている。




「八。」


「ヒャイ。」


「私の許し無く、祝の力を持つ者に近づくな。」


・・・・・・。


「どうした。」


八が、蛇に睨まれた蛙のように動かなくなった。


「ゲコッ。何デも、ありマせん。」






とつ守は強い祝の力を持つ子が、山裾の地から霧雲山に入った事を知っている。けれど、その子が親から力を受け継いだ娘、良村よいむらのタエである事は知らない。



祝辺は、祝辺の守は忍びに見張られている。


野比のび木菟ずく野呂のろの鷲の目。加えて天霧山あまぎりやまの雲。人ダケでも厄介なのに隠忍び、ひろ靄山隠もやまおにからも警戒されているのだ。


ほんの少しでも気を抜けば、隠の守でも消されるだろう。



祝辺の守でも探れない。という事は、はじまりの隠神で在らせられる大蛇神が深く係わって御出でだ。


良村は多くの里や村、国とも結ぶ強い村。忍びとも結んでいるから、コチラの動きなど筒抜け。






「で、何を企んでいる。」


「ニャにも。・・・・・・その、引きます!」


両手をつき、ひたいをゴンとつけて叫ぶ。


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