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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新生編
1174/1588

13-21 何が有った、何が起こった


ひろ隠頭おにがしらほう偉山おおやまにある里の出。偉山の男たちが何を考え、どう動くか。嫌と言うホド分かっている。


「酷いのは知っていたが、ココまでとは。」




偉山は山中に里や村が点在するが、閉鎖的な山である。


男尊女卑だが一夫一妻制を導入。男には選択権があるが、女は父兄に絶対服従。女腹だと冤罪を掛けられ、公開処刑。


動けない状態で喰谷くたに山に投棄され、生きたまま獣に食い殺される事が多い。



死ぬまでボコボコ産まされるので、多くの人が暮らしているのだが・・・・・・。




「何が有った、何が起こった。」


人の、いや女の数が前より少ない。




偉山の男は女を物として扱う。田や畑の事、釣りや山の手入れ。狩りだって女にさせる。


女の数が減れば食べ物に困る事になるので、どの家も二人は残す。なのに田にも畑にも居ない。


川や山に居るのは幼子おさなごや娘で、老いた女が見当たらない。




産屋うぶや、子の家。」


村外れに走った。


「エッ。」


ない。




里や村の外れには、幾つもの産屋が建てられていた。外れに建てられるのは、嬰児みどりごの泣き声がうるさいから。


三つまで育たなければ、里にも村にも入れない。だから産めない女たちが移り住み、母の代わりに嬰児を育てる。それが偉山の決まり。




「もや、された。」


おには生き物に触れられない。けれど物なら、ほんの少し動かせる。


「なんと恐ろしい事を。」


炭化したアレコレを取り除き、現れたのは人骨。




守ろうとしたのだろう。割れた頭蓋のむくろが、その胸に嬰児を抱えていた。


鎖骨や肋に刺し傷が残る骸、頭を落とされた嬰児。足の骨を折られた幼子の骸まである。




「一隠も居ないから、きっと。」


迷わず根の国へ、旅立ったのだろう。


「私の力では、墓を掘る事は出来ない。」


ソッと離れ、動かしたアレコレを戻した。




焼き殺されたのか、殺されてから焼かれたのか判らない。けれど、きっと痛い思いをした。


つらくて苦しくて、助けを求めたハズだ。




「そうだ、偉山社おおやまのやしろなら。」


偉山神おおやまのかみは大の人嫌い、使わしめは人になぶり殺された犬と蛇。きっと御力を貸してくださる。






偉山社は偉山のいただきにある石積みの社で、偉山に祝の力を持つ者は居ない。


昔は祝の力を選んだ嬰児に与えていたが、女を軽んじる男に嫌気がさし、付与した力を取り上げ現在に至る。


伊弉冉社いざなみのやしろの隠忍、恕。矢弦社やつるのやしろの忍、雲には協力的。



使わしめアサは元、狩り犬。


側頭部を割る前の薪で殴られた飼い主、瀕死の女性を守ろうと男に襲い掛かり、嬲り殺され妖怪化。偉山神に拾われ、社憑きになる。


その後、出世して使わしめになった。



使わしめすいは偉山の男に、偉山神の生贄として嬲り殺され蛇神化。偉山社に殴り込みを掛けるも、偉山神が『生贄を御求めでは無い』と知り脱力。


社憑きにスカウトされ数年後、出世して使わしめになった。






「やぁ投、久しぶりだね。」


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