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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新生編
1171/1594

13-18 とても気になるが、今は


リツから話を聞いたマツは急ぎ、せこ熱吹ねぶきに使いを出すようウイに伝えた。


迫は嚴山いずやまの東、熱吹は嚴山の北西に在る隠れ里。で湯があるので見晴らしが良い。






「何と! 直ぐに守りを固めます。ありがとうございました。」



高盛崖たかもりがけの上には、多くの隠れ里がある。その全てが戦えるワケでは無い。



「ソレにしても、ハァ。山守の民も偉山おおやまたみも、どうして人を攫おうとするのか。」


迫のおさが嘆く。


「偉山・・・・・・あぁ。喰谷山くたにやまの東にある、大きな山ですね。」


「あの山は男が女を物のように扱う、とても酷い山です。女しか産めないとなぶり、喰谷山に捨ててから後添のちぞえを迎えるんですよ。」


「エッ。」






ウリを心から愛するマツはリツのため、トミを後添えに迎えた。


トミとの間にトモが生まれたが、リツと同じ様に慈しんだ。トミにはソレとなく、いつか別れて暮らすと伝えて。


その時、困らないようにシッカリ蓄えていた。



ウリとは死に別れたが、ちぎるとは死ぬまで添う事。マツはソウ考えている。嬰児みどりごのために迎えた後添えを嬲るなど、マツには考えられない。


だから見開き、驚く。






「偉山の男はね、言の葉が通じないんだ。だからマツ。もし偉山のに会ったら話し合わず、サッサと逃げなさい。」


「はい、長。ありがとうございます。」



リツは嚴山分社いずやまのわけやしろの守、嚴山から出る事は無い。嚴山は守りが固いから、他のは近づけないし遠ざける。それでも心しておこう。






「♪ 怒りは心を締め付け 周りを歪めて見せるから いつでも頭を使ってマコト 見抜き生き続けよう どんな事になったって 時は戻らない♪」



大岩のほらの中、ノリノリで歌うカヨ。鎮森しずめもりの民もピョンピョン跳ねている。



「おや、この歌は確か。」


伊弉冉社いざなみのやしろの忍。ひろの隠頭、ほうが立ち止まった。


「ティ。」


声が違う、琴の音も。だからティ小では無い。けれどナゼ山守、鎮森から『ティ小のうた』が聞こえるのだろう。


「ん。」


木木おおきに行く手をはばまれた。


「あの歌を聞きに行きたいダケだよ。通しておくれ。」




ザワザワ。ザワザワザワ。



「おや、珍しい。」


「とつ守。」


投の目が鋭くなった。


「山守に何か?」


心当たりが有り過ぎて困るが、聞いておこう。


「山越に仕掛け、数を減らしたそうで。」


「はい。」


ニッコリ。


祝辺はふりべの考えですか。」


「いいえ、違います。山越に山越分社やまごえのわけやしろが建ちましてね。分社の守がシッカリ、務めを果たしているのです。」


うふふ。


「そう、ですか。」


ティ小のうたを歌っているのが誰、いや何なのか。とても気になるが、今は急ぎ確かめねば。


「ではいづれ、また。」


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