表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新生編
1167/1589

13-14 あの長になら任せられる


夢に出たのが山守神やまもりのかみかドウカは別として、トモは山越分社やまごえのわけやしろめかんなぎになった。


その話はアッと言う間に広まり、山守から使いが来る。




「は? ナニ言ってんの。生贄いけにえになるのはアンタ。この男の手足を縛り、谷に落とせ!」


「はい。」


「ヒッ、何をする。はなせ。はなっ。」


サッと猿轡さるぐつわめられ、手を後ろで縛られ、足も縛られ動けない。






トモは気に入らないヤツを、片っぱしから処分しようとした。けれど思い通りナラナイ。山越のたみおさに守られ、トモの言いなりにはナラナイから。


けれど相手が山守の民なら? 思い通りポンポン消せる。



山越の民は山守の民を嫌っている。だから相手が山守なら迷わず縛り上げ、ポイっと谷に落とす。トモ同様、罪悪感などいだかない。



山守の長は性懲りも無くポンポン送り込み、トモをなぶり殺すのを楽しみにしていた。が、幾ら待っても使者が戻らない。


その結果、山守から若い男が激減。






「どうなっている。トモだったか、その娘。まだ八つだろう。」


「はい。その、どうも山越の民に守られているようで。」


正確には山守の民しかポイポイ出来ず、常にイライラしてマス。






トモは気に入らない女を、片っ端から殺そうとした。けれど、誰も言う事を聞かない。苦言を呈する年寄を殺そうとした。けれど、思い通りにナラナイ。


目が合った子を、言い付けを守らない男を、村長むらおさも殺そうとした。けれど何をドウ言っても同じ。だぁれも動かない。



イライラし過ぎて発狂寸前。そんな時、山守から使いが来る。するとドウなる?


何を言っても『はいはい』としか言わない連中が、『はい』と言って動いてくれる。ポイポイしてくれる。



結果、山守から人が来るたび、適当な事を言って処分するようになった。






「・・・・・・つまんない。」


山守の長は考えを変えた。民が、男が減り過ぎて困った事になったから。


「ハァ。」


山越は山守と違い、祝辺はふりべから助けられる事は無い。だから男も女も、子も年寄も良く働く。トモを除いて。


「ハッハァ、人が虫のようだ。」


崖上から村を見下ろし、ゲス発言。






山越の民は気付いている。トモには祝の力も、巫の力も無い。


けれど神か、社憑きか。人では無い何かがトモを選び、その枕元に石を置いた。



その石は確かに、崖の平地に落ちていた石とピッタリ合った。だから全てが偽りだとは思わない。言われた通りに柞の大木の横に分社を建て、トモに守らせている。


その方がイロイロ都合が良いから。



トモは口が達者な怠け者で、何か言い付けても誰かに押し付け働かない。


となると初めから他の誰かに頼んだ方が楽。トモはトモで何もせず、分社を守っていれば良いので楽。


双方に利点が有る。






「選んでおいてナンだけど。」


大木おおきの陰からピョコッと顔を出し、トモを観察していたカヨ。まばたきしてから地に潜った。




狙い通り、山守の民が減っている。山越の民は減ってイナイが、まぁヨシとしよう。


山越の長は山守を恨んでいる。だから生贄とか人柱と聞くダケでスッと冷たい目になり、迷わずポイポイ捨てるのだ。



「あの長になら任せられる。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ