13-8 見つけた
鎮森の民に何かが起こった。いや、何かを隠している。
矢弦の忍びか。
「まぁ良い。」
怪しいのは山守社と、その周り。
「フゥゥ。」
木の幹に、目を閉じたまま息を吐く。
山守に潜む何かは闇堕ちし、呪い種になった何かだろう。鎮森の民には悪いが、消えてもらうよ。
ザワザワ、ザワワ。
「ん。」
ソヨソヨ、ザワザワ。
「んん。」
ザワザワ、ザワッ。
「んんん。」
ナゼだ、なぜ何も。
呪い種だぞ。祓わなければ、清めなければ禍を齎す。なのにナゼ庇う。
「そうか。」
なら、私が見よう。
鎮森は、いつも通り。山守、山守の民も変わりない。力を持たぬ者、弱い者を甚振って喜んでいる。
山守社は、まだ山守の民を信じるのか。守らずともアレは死なん。その数を減らせば、それだけ助ける人も増えるのに。
社、離れ、獄にも怪しい動きは無い。となると社の周り、歩いて行けるトコロ。
「おや、あの大岩。」
祀られているが、何だろう。隠の子が楽しそうに跳ねている。
「ウッ。」
とつ守が呻き、膝から崩れ落ちた。顔色が悪いが、その目は猛禽類のように鋭い。
「見つけた。」
山守社の近く、祀られている大岩に洞があった。山守のテイを変えた何かが、大岩に潜む何かと同じならドウなる。
何を狙う。
「山守の民を、消す?」
そのためにテイを呪い祝に変えた。
草木が、鎮森の隠が守ろうとする。いや守ろうとしたのだ。山守の山に禍を齎すモノでは無いのだろう。けれど今まで、あの闇は。
違う。
「テイが消えたから、表に出てきたのか。」
急がねば。
トタトタトタトタ、どぉん。
「とつ守、行かないで。」
みつ守が駆け寄り、抱きついた。
「日が暮れる前に戻ります。」
「祝辺の獄から『ウゥゥ』って聞こえるんだ。」
「そうですか。」
「闇じゃナイ闇だよ。」
「呪いか何かでしょうね。・・・・・・ん。」
祝辺の獄、闇? 他にも何かが潜んでいるのか。
いやイヤまて待て、どうして人の守を頼らない。ひとつ守、ふたつ守を頼らないんだ。
「お願い。」
みつ守、うるうる。
「ひとつ守にっ。みつ守、手を放しなさい。」
とつ守に叱られ、お口をキュッ。上目遣いでウリュウリュ。
はい、演技です。