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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新生編
1155/1588

13-2 翼が有れば


予知した未来は変わる。


他国が窮しようが滅びようがドウなろうが、アンリエヌに敵意や悪意を向けぬならソレで良い。仕掛けられれば消す、攻め込まれれば消す。


アンリエヌにわざわいもたらすなら国ごと潰し、必要なら断種して絶滅させる。それダケの事。




「消滅させたか。」


山守の呪い祝、テイの闇が消えて無くなった。闇を植え付けられたキマイラも浄化され、危険を察知した元凶は逃亡。


「呪いの源になったが、あの娘は山守の被害者。」


鍵となる少女が野呂山に入り、少年と出会った。共に大泉山へ転居。鎮野しづめの良山よいやまとの遣り取り、雲井が山守や祝辺はふりべから守っている。盗聴、盗撮も不可能。


「見るか。」


化け王が予知の『才』を発動。






はじまりの一族で『才』を持っているのは化け王、カーだけ。他は全て収集済。


生き残りは正妃から生まれた第一王子エド、第二王子ジャド、第二王女ウィの三人。第三王子ベンの愚行により全身の血を抜かれ、王城地下空間で服役中。



エドはひつぎに入れられ釘付けされ、逆さにしてから壁に塗り込められた。ジャドとウィは一人づつ布で巻かれ、別の柱に塗り込められる。


王子王女は今でもギャァギャァうるさいが、処刑の一部始終を見せられた新たな一族は化け王に平伏。今のトコロ問題ナシ。




中の東国、その真中まなかにある霧雲山の統べる地は平和だ。山裾の地には好戦的なのも居るが、揃って社の支配下に置かれている。


祝辺の人の守がおさとなり、おにの守が本気を出した。いさかいは有るがいくさは無く、他の地にも良い影響を与えている。



手を出さなくても良さそうだが、どう変わるか分からない。


隠のときが開き、落ち着きを取り戻した。山守社やまもりのやしろから祝が選ばれなくなり、呪い種は残ったが呪い祝は消滅。



鳥の谷に築いた砦に近づくのは乱雲山、和みの村長コウだけ。『ほらの奥に何かが在る」と気付いているが、壁に触れるダケで何もシナイ。


神の化身けしんか何かだと思っているのか、ブランに黙礼する敬虔な男だ。






「ブラン。」


「はい、カー様。」


「来月から、霧雲山の統べる地へ。」


「はい。」



遠方へ派遣されるが好待遇。


連休が取れればアンリエヌに一時帰国できるし、交代要員だって居る。鳥でなければ務まらないので、『翼が有れば行けるのに』と思う獣がチラホラ。



正直に言えばアンリエヌから、もっと言えばカー王から離れたくない。けれど王命、おおせに従います。キリリ。






ザワザワ、ザワワッ。ザワザワ、ソヨヨ。


「そうか、分かった。」


草木の声を聞き、とつ守が微笑む。


「ありがとう。」




鳥の谷にブラン様が戻られた。


化け王は霧雲山の南を好きで、見張り為さるワケでは無い。化け王と同じ色の髪と目を持つ、青い衣を着て犬を従えていた、あの人の願いだろう。



・・・・・・御隠れになって、どれだけ経った。


春、山吹の花が咲くと思い出す。『ずっと変わらないで』とおっしゃって、ニッコリされる御姿を。優しい御声を。




「行くか。」


山守への監視を強化する事にした。


「とつ守?」


みつ守が戸惑うのは当然である。とつ守の背後から声を掛けようとしたダケなのに、ヒョイと荷を小脇にかかえるように運ばれているのだから。


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