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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
暗風編
1149/1588

12-67 潰敗


新曲は完成した。けれど開演まで、まだ間がある。


ティのファンは礼儀正しく、善良でしとやか。作法を破るとは思えない。






「こんばんは。はじめまして、ティ小です。」


ニコッ。


ティです。うふっ、いただきマス。」


強い吸引力を誇る掃除機に吸い込まれる、ちりほこりのようにシュポッ。


「闇が、闇が広がる。」


分ティとティ小が融合。


「ウッ、ヴッ!」


吐き気が込み上げてきた。


「グハッ。」


分ティとティ小の融合には成功したが、負荷に堪えず吐血。


「ア゛ァァァァ。」


明日あびの体から、穴という穴から血が噴き出した。ティ小愛用の琴が真っ赤に染まる。


「ウヅワ。アダラジイ、ウヅワヲ。」


直ぐに乗り換えなければ、この体から出られなくなる。誰か、誰か居ないか。



こうなったら虫でも鳥でも蛇でも、四つ足でも何でも良い。急いで奪わなければ、直ぐに奪わなければ、今直ぐ奪えなければ終わる。全て水の泡だ。



「ゴイッ。」


闇をビュンと伸ばし、通りすがりのたぬきを掴む。


「ヴューン!」 ハナセェ!


威嚇する時にしか鳴かない狸、絶叫。尻尾を捕まれ引っ張られ、洞窟の中へ。






「・・・・・・また狸か。」


二代目、分ティィです。どうぞよろしく。


「ハァ。」


驚くと仮死状態になる狸に暴れられ、分かりにくいけど傷だらけになった分ティ。いろんな意味でボロボロ。


「離れよう。」


ほらからトコトコ逃亡。


「次は祝の体を手に入れる。」


誰も聞いてナイけど、堂堂どうどうと宣言。


短い四肢を動かし、プリプリぷりりん。月光から逃げるように吹く風に乗って、闇の中に消える。



・・・・・・!



ハズだったのに焼かれた。青と白の狐火に焼かれた。九尾の白狐に、赤目の狐にヤラレタ。何もかもスッカリ無くなってシマッタ。






雪花きよはるさま?」


沼垂ぬたりの社憑きが、白夜間神はやまのかみの使わしめに声を掛けた。


「山守、地割崖の北で何かが揺れました。闇より薄く、水より濃い何かが。」


祝辺はふりべから山守に移動中、テイの闇が消えビクッとしたのを気付かれた。けれど、カヨは気付いてイナイ。


「急ぎましょう。」


「はい。」


雪花と寿ほぎが向かうのは山守のいただき、祝辺。






テイから切り取られた水生闇、全滅。


残るは祝辺に二つ、山越に一つ。呪い玉がウロチョロしているが、アレの狙いは山守。山越に移住したのも含め断種、絶滅させる気だ。



ティティティ、ティ小。アレも気に入っていたのか、消滅と同時にビクリ。で、狐に気付かれ焦ったと。


フッ、まぁ良い。そろそろ動くか。



「ウロ、風向きが変わった。ココから出るぞ。」


ヴァンが微笑み、相棒に声を掛ける。


「私たちをテイごと消して無くしてくれる、強い何かが現れ出たの?」


「あぁ、そうだよ。やっと解き放たれる。」


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