表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
暗風編
1138/1589

12-56 地中探検


大泉神おおいずみのかみの使わしめ、亀は甲に緑藻が着生した石亀。つまり、蓑亀みのがめの妖怪。



子亀の時から大泉神に仕えて天寿をまっとう? したようで、本亀も気付かぬまま妖怪化。出不精でぶしょうな大泉神の代理としてアチコチ出向いた結果、変化能力が向上。


若者に化けても貫禄たっぷりヨ。






「・・・・・・。」


大泉社おおいずみのやしろの札を首から下げていたが、カランコロンするので甲の中に入れた。それをスッカリ忘れて、人の姿に化けている。


「えっと。」


タエを守るように前に出たタラ、心の中で大騒ぎ。


ドッチだ、これドッチだ? 『使わしめ』って言った。なら獣か何か。化ける前の姿なら『鳥さま』とか『狐さま』とか言えるのに、初めから人に化けられると困る。




「お久しぶりです、亀さま。」


シナが前に出て、ご挨拶。


「確か飯野の。」


「はい。前の亀頭、シナです。」


飯野の社憑き筆頭でしたが、今はタエの後見うしろみデス。




妖狐フサと妖犬クルはタエの左右を固めている。もちろん二妖とも前、社憑き筆頭。亀との話し合いは亀に任せ、護衛任務に集中。



警戒するのは当たり前。


イキナリ奥からヌルッと現れ、シュッと人の姿に化けたのだ。フサたちは『大泉社から迎えが来た』と直ぐに判ったが、タエもタラもビックリ仰天。


悪いモノでは無いと思うが、名乗るか、元の姿を見せてくれないと困る。




「亀さま。茅野の狐フサ、添野の犬クルに挟まれている子がタエです。前に出ている子が野呂のろの狩り人、タラ。どうか甲の藻を、この子らに御見せください。」


自慢の緑藻を『見せて』と言われて、へそを曲げる蓑亀はイナイ。ポンと戻ってニッコニコ。


「どうだ。」


ふふん。




蓑亀は甲羅に緑の藻が生え、蓑を纏ったように見える亀。淡水産・海水産のドチラにも見られ古来、長寿のシルシとして、めでたいモノとされる。



四瑞で瑞祥ズの一員、霊亀は霊妙な亀。蓑亀とは別物。


霊亀は霊体、霊感の強い人にしか見えません。けれど蓑亀には実体があるので可視、お触り共に可能。




「さぁ、大泉へ行こう。シナ、フサ、クル。タエとタラを荷ごと包んで、甲の真中まなかに乗せておくれ。」


「はい。」




タエとタラが荷を持つと、シャボン玉のような球体が現れ、そのままフワリと浮上。亀の大きな甲の上へ移動し、ポワンとしてピタッ。


一隠二妖がピョコピョコと、頭から飛び込んできた。亀の頭の方をシナ、左後ろにクル、右後ろにフサが押さえると、球体が半球体になる。



スゥっと上がってスゥっと進むが、目の前にあるのはほらの壁。このままじゃ打ち当たる! と思ったのに、丸太におのを入れるようにパッカァン。


驚いて振り向くと、岩が手を合わせるように閉じていた。




「わぁぁ。」


タエとタラが感嘆の声を上げ、手を繋ぐ。


水筋みずすじだ。」






嘆きたにの洞の近くには水脈があり、白滝湖に繋がっている。


白滝を上り山桃湖に入って直ぐ、西へ。地中を進んで泡湖あぶくのみずうみに出たら、放川はなかわを下って大泉へ。



地中探検を満喫したタエとタラ、大泉に到着。


人の子なので水中にある大泉社には入れない。ゆっくり浮上し、水面を滑るように移動。泉の南で半球が球体に戻り、そっと地上に下ろされた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ