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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
暗風編
1137/1588

12-55 もう食べられなぁい


先見や先読の力は、いくさ好きに狙われやすい。



添野は豊田に破れ、豊田の国に組み込まれた。タエの母が生まれた茅野は飯田に破れ、飯田の国に組み込まれた。


タエの祖母が生まれた飯野は武田に破れ、武田の国に組み込まれた。



豊田、飯田、武田のおさが、先読の力を持つタエが戻ったと知れば、そのせがれに組み敷かれる事になるだろう。



タエには強い先読の力が有る。


母から娘の一人に譲渡される力は、ソレが人類なら優劣・美醜に関係なく継承可能。


先読に限らず、強い祝の力とは然ういうモノ。だから狙われ攫われ囚われて、譲渡完了後に殺される。攫われたら終わり。



敵は戦好きダケでは無い。厄介なのは霧雲山系最高峰、山守の御山にある二つの村。


山守の民は生贄いけにえ人柱ひとばしらとして、祝辺はふりべもりは更に強力な力を得るために求める。


有望な人、優秀な人材を発掘して引き入れれば思い通りになる。困った事に、そう信じて疑わないのだ。






「ウッ。」


清めの力を持つ祝人頭はふりとがしら、マヨが力をふるうも大苦戦。


「強い。ピーさま、闇を。」


土を操る力を持つ祝女頭はふりめがしら、カヤ。鉢を伏せるように野呂山を覆う。薄いのでペコンペコンしそうだが、その強度ははがねより上。


「はぁい。」


野呂神のろのかみの使わしめで昼担当、のすりおにピー参上。



カヤによりはじかれた闇が壁面をスルスル落ち、雨樋あまどいのような溝を伝ってうずを巻いていた。ソレをパックンして腹の中で浄化。



美味おいしくない。」


そりゃソウでしょう。


「でも、お残しシナイよ。」


パクぱくパックン。






「もう食べられなぁい。」


ケプッ。


最後まで遣りげた食いしん坊。ヘソ天になって両の羽で、ポッコリおなかさする。


「良く清め切った。」


野呂神の使わしめ尾被おかずき。夜担当のむささびの隠が飛膜ひまくをパタパタし、清めの風を送る。




「何なの、あの闇。もう嫌お外でぇないっ。」


祝、引き籠もり宣言。


「顔だけ出せば読めるからな。」


祝人頭、焦らず冷静に一言。


「ソレってドウなの。」


「父として言ったのだ。倅よ、シッカリしろ。」


「・・・・・・はぁい。」


残念だが、気の毒だが、遺憾に思うが耐えろ。それが祝だ、力を揮え。キリキリ働け、務めを果たせ。


「そろそろカナ。」


野呂神、ニコリ。






あの闇は山守の呪い祝、テイから切り離されたモノ。


あんなに濃く、深いとは思わなんだがソウか。アレが広がる前に嘆きたにほらに入ったなら、どんな闇からも守られる。



「野呂神。御知らせくださり、ありがとうございます。今すぐ使わしめを、水筋みずすじを通って向かわせます。」


「はい、お願いします。ところで大泉神おおいずみのかみ。」


「はい。」


「あの闇、祝辺の奥に潜む『何か』と似ている。いや同じ『何か』を纏っている。そんな気がするのですが。」


「そうですね。」



あの闇はテイに取り憑いた呪いソノモノ。


狭間はざまを走る何かを通って、山守から祝辺に入ったのだろう。アレを清めるには祝の力と、全てを清らで穢れの無いモノに変える力が要る。


大蛇神おろちのかみにも化け王にも為せぬ事だ。



・・・・・・化け王に祝の力が有ればなぁ。


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