12-50 お触り厳禁
この体、馴染むと思ったらフッフッフ。闇だ、闇を宿している。いや、この感じ。生まれ持ったモノだな。クックック。
イイね、この山。もっと探せば他にも居るだろう、闇を生まれ持つのが。
「まっ、暫くは。ぐふっ。」
分ティ人ぷるるん、絶好調。
「この器、男に持て囃されるんだね。」
チョッと流し目に見たダケで、どんな男もデレェっとしたりポォっとするんだ。笑いを堪えるのが難しくてね。舌を噛むもんだから、もう痛くて痛くて。
にしても何だか懐かしい、ような気がする。うぅん、どうしてだろう。テイの親、男親? もしかして妖怪、大妖怪だったりして。
「グフッ、ブクク。」
見目麗しい明日の顔が、残念な事に・・・・・・。
「何だろう、大蛇? 犲、狐かな。」
はい、妖狐です。五尾になって直ぐの頃、イロイロあったのよ。
「この顔、この胸、尻もイイ。」
分ティ人、止めとけ。胸を揉むな、尻を撫でるな、ウットリするな。明日のファンが泣くぞ。
「ん、何だ。フッ。」
分ティに体を奪われたが、明日の魂は残っている。隅っこに追い遣られてペチャンコになっても、消えて無くなる事はナイ。
何てコトかしら。セイも、あの子も同じ苦しみを味わったのね。辛いわ。
「ちょっと! 私から出て行きなさい。」
バンッ、バンバン。
「聞こえているんでしょう、聞こえているわよね。」
ドンッ、ババン。
圧し潰そうと迫る何かを掌でバンバンしたり、勢い良く肩ドンしたりして孤軍奮闘。
薄いが、かなり薄いがセリの血が騒ぐ。『諦めるのは早い』と大騒ぎ。
「好きにさせないわよ、分ティ。」
バンバン。
「私、諦めないわ。」
ドン、ドン。
フッ、人に何が出来る。黙って従え。
「さぁて、いただくか。」
髪と衣を整え、家から出る分ティ人。
「うぅん、良い日和。」
チビッ子セイとは違い、明日は成人して間もない乙女。加えて口寄せ専門の巫である。寄ってくる客、じゃなくて困っている人から闇を徴収。
目指せ、真ん丸ふくふくボディ。
胸を張って腰を振ってプルン、プリン。鼻の下をビロォンと伸ばす上客にニッコリ微笑み、恋の虜にする。
「明日さま。」
熱い視線を集めに集め、舞台に立つ。会場は嘘で固められた安らぎを求める、熱心な愛好者で溢れていた。
「皆さん、おはようございます。」
爽やかな朝には似合わない、いや不適切な妖艶さ。湯上りでもナイのに湯気が、桜色の湯気が見える。
髪を振り乱し激しく踊る。腰紐の結びが甘かったのか、胸元と腿が顕になった。モチロン計算尽の行為です。
お触り厳禁なので一同、赤ら顔で前のめり。ゆるんだ口元から涎ダラァ。朝っぱらからナニしてんの、元気だね。
お母さんが見たら泣くよ。