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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
暗風編
1131/1588

12-49 見上げてごらん


白夜間社はやまのやしろに就職して、初めての出雲いづも出張。自由時間に因幡いなばへ行き、セリの墓に水と花をそなえてからはぎの子孫に会いました。


といっても、村長むらおさの家を遠くから見るダケ。






「孫の誰かが因幡を出て、ココまで。」


因幡があるのは中の西国にしくに。中の東国ひがしくに、霧雲山の統べる地までは遠く離れている。


私を追って? いやソレは無い。セリが死んでから、神主を務めているのは村長。困った時はやしろを頼るだろう。


さらわれた。」




はい、子孫の一人が妖怪に攫われました。


雪花きよはる似の美男子に恋をしたのはナント、飛行型大陸妖怪。手掛かりナシ。村人総出で捜索しましたが、相手が妖怪じゃ手も足も出ない。けれど運が良かった。



その子、尾ナシなのに狐火が出せたんです。泣くのをグッと堪えて、ウヒヒな妖怪の腹にドンと叩き込みました。


結果、急降下。



狐は飛べない! でもセリの血が強く出たのか諦めず、狐火をバカスカ出して着地成功。降り立ったのは真中の七国、倭国しずのくに


もう少し東なら中の東国、津久間の地だったのに・・・・・・。




「山守の呪い祝テイの父、セイは今どこに。生きているのでしょうか。それとも、もう死んでしまったのでしょうか。」


生きているなら直ぐに引き取り、共に暮らそう。罪を犯したなら乱雲山、雲井社くもいのやしろへ連れて行く。私に出来る事なら何だってするさ。


「ヒサとテイに看取られ、やまいで死にました。テイが九つの時です。」




ヒサは恋に生きましたが、寂しくありません。その分セイに慈しまれ、スクスク育ちます。


人は愛された記憶があれば、どうにか生きられるモノ。愛情をタップリ注がれ成長したので、歪みませんでした。



セイが死んで、ちょうど一年後。楽しく暮らしていたヒサは闇の力が通じない女に嫉妬され、頸動脈を切られて二十四歳で死亡。


テイは十歳で親無しになります。けれど山守の継ぐ子だったので、飢えや寒さに苦しむ事なく天寿を全う。と同時に呪い発動。



呪いとは恐ろしい物です。そんなテイをグニャリと歪ませ、多くのわざわいもたらすのですから。






「私は、私はどうすれば良いんだ。」


頭を抱える雪花。


「まだ出来る事がある。」


雪花の肩をポンと叩き為さり、ニッコリ。


白夜間神はやまのかみ。」


「下ばかり見てはイケナイ。さぁ、見上げてごらん。」


そうだ、まだ一つ。一つだけ残されている。私にしか出来ない事が!




血肉が失われてもテイはテイ。どんな姿になっても薄いが、私の力が残されているだろう。狐火で、私の狐火で焼き尽くせる。


考えろ。今、動けば逃げられる。動くなら全て揃う時。



霧雲山に潜むテイの闇は四つ。祝辺はふりべひとや、山越の外れ、流離なばの北、狩山かやまの東。


祝辺のと山越のは後回し。流離のほらに潜むティいづれ、狩山に潜むティが取り込む。それから山守、いや山越に向かうだろう。




「耐えられるのか?」


話を聞く限り、それぞれ闇を深めている。


「憑いためかんなぎにも同じ力が、その身に。」


となると。


うつわが割れた、その時を狙う。」


ティ小と分ティが一つになる時、器が割れる。割れて地の下に潜る前に焼き払う。それから水筋の洞に隠れている何か、妖怪か何かだろう。それを焼いたら祝辺へ。


「もう迷いません。」


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