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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
暗風編
1126/1588

12-44 精鋭ぞろい


定例の会議終了後、休憩を挟んで調査開始。



第一班、たいらの地。


土に埋もれた留萌社るめのやしろの発掘、及び使わしめ夜久やくの遺品を捜索。



第二班、同じく坦の地。


御隠れ遊ばした坦神たいらのかみの使わしめで現在、坦の地の保全管理を担うアラ。


坦社たいらのやしろの祝で死後闇堕ちするも現在、清めの力と引き換えに得た闇の力でアラを支える鎮守しづめもりナヲ。


両名に対する事情聴取。



第三班、狩山かやま


狩山神かやまのかみの使わしめ明寄あよ山背やましろの社憑き鼠ん両名に対する事情聴取。狩山内を徹底調査。



第四班、同じく狩山。


山背神やましろのかみの使わしめよりを立ち合いおにとし、山背各所に存在する鼠んコレクションルームを捜索。


捜査員に収集品は『物ではなく、宝』として扱うよう周知徹底。



第五班、山守。


祝社はふりのやしろに協力を求め、の娘が山守に引き取られてから死ぬまでを調査。


並行して坦から移り住んだ山守生まれ、山越育ちの男に関する情報を収集。



第六班、嚴山いずやま流離山なばやま汊眺山さながやま


嚴山神いずやまのかみの使わしめ黄丸きまる流離神なばのかみの使わしめヒオ、汊眺神さながのかみの使わしめごうに対する事情徴収。


なおヒオは特別任務中につき、社憑きプルンと交代してから聴取する。






「山守で生まれ、山越に移り住む男は多い。」


ひとつ守がうなる。


「坦山が崩れる前、山越や霧山とも繋がっていました。」


坦山は山越や霧山より標高が高かった。だから呑み込んだのだ、噴水くらいの高さだった留萌を。


「四つ足でも滑るような山でしたから、鎮森しづめもりを抜けなければ辿り着けませんでしたよ。」


アハハ。


「『山越でも思うように暮らせず、移り住む者が多い』と、坦のおさ山頭やまがしらから聞いた事があります。」


坦に限らず、あの山津波やまつなみに呑まれた人は全員死亡。坦神の使わしめアラ、留萌の社憑き寿ほぎは生き残ったが妖怪。どちらも人では無い。






「おや、もう。」


坦の地から飛んできた使い烏に第五班班長、集水あつみの社憑きてるが驚く。


「あの・・・・・・。」


彩は透明な軟泥状の妖怪。集山あつやまで死んだ動物の隠が融合して妖怪化したので、人の姿に化けても四つ足で歩いてしまう。


今回は犬が強く出て、お座り状態。ひとつ守が戸惑うのも無理はない。






今回の作戦、参加したのは人の世の精鋭ダケでは無い。人のときから隠の世に移り住み、長く生きる妖怪のために組織された組合も加わった。


その一つが発掘調査を専門とする『鼴鼠組もぐらぐみ』、通称モグモグ。



農作物に有害だからと人の世で害獣指定された事を嘆いたふんが、隠の世におけるモグラの地位向上を目的として組織した調査隊。


全員ムッキムキで、幼虫より鶏肉を好む。






「ひとつ守。こちら、見覚え有りませんか。」


シュタッと立ち上がり、土器片を差し出した。






モグモグが発掘した夜久の遺品から、重要な手掛かりを得たのは分析調査を専門とする『野良組』。通称ノラー。


留萌社埋没現場の南東、坦社埋没現場の北西で『ココ掘れワンワン』を発動。



研ぎ澄まされた嗅覚と聴覚を活かし、隠の世に貢献したいと組織された野良組。


隊員の多くが人の子を守って死亡し即、妖怪化。負傷した飼い主を家族の元へ送り届け、黙って隠の世に移住した。


組織名は『山ではなく野で生きていた』事に由来する。






「ん、これは。」


ひとつ守が見開く。


「これは山守のかんなぎが使っていた、魂呼たまよびのかねです。落として割って、お守りにしていました。」


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