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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
暗風編
1122/1589

12-40 甘噛みでも


狩り犬だったワフが人と子をす事は無く、呪い神になってもうけた子はワフだけ。持ち込まれた闇からワフの闇は検出されなかった。


つまり、ワフたちは白。




の闇がセイから見つかった。」


「となると、詐にはワフの他にも子が?」


「居てもオカシクない。」


あれから幾年いくとせち、詐が他に子を産んだかドウかなんて・・・・・・。


寿ほぎなら何か。」


沼垂神ぬたりのかみがポツリと呟き為さる。




土に埋もれた留萌社るめのやしろから最も近い場所、ひょうの外れに生えているかし大木おおきにはほらがある。その洞が寿の家。



「寿、起きよ。」


ペシペシ。


「うぅん、もう朝ぁ。」


いいえ、真夜中です。満月がキラキラ輝いています。


和山社なぎやまのやしろから蛇が沼垂ぬたりにって、オイッ。」


ペシッ。


「蛇よりうさぎが良ぃぃ。」


スピィ。


「噛みつくぞ。」


食い付いたら離れないケド、水の中に入れられたら放します。それがすっぽん、ヨロシク。カプッ。


「キャイン。」 イタァイッ。


甘噛みでも眠気が吹っ飛んだ。






沼垂社ぬたりのやしろの札を首からげ、涙目で出頭。じゃなくて和山社を訪れた寿。耳をペタンと伏せ、キュルルン。


チョッピリ闇には強いケド、痛いのは嫌だよ。ウルウル。



やまとは八百万やおよろづの神の国だが、人のときの果てや生き物が暮らせない地に御坐おわす、狭間はざま守神もりがみは百柱ほど。その守神がズラリ。


寿でなくてもビビります。






「寿よ、よく来てくれた。」


「沼垂神。」


今にも遠吠えしそう。でもえます、耐えて見せます。


「ずっと前の事なのだが、留萌のな。」


「はい。」


かんなぎだった詐に、ワフの他に子は居ったか。」


エッ。詐って、あの?




巫なのに出来るのは生口いきくちだけ。


神口かみくち死口しにくちも偽りで、全て作り事。なのに『人柱を』とか『生贄いけにえを』とか言って、多くの生き物をなぶり殺した悪い人。


恐ろしくカンは良かったヨ。



そういえば十二になるか、ならないかって時にポッコリしてた。そうそう、音が二つしたんだ。それに夜久やくさまが『まだ子なのに』って。



思い出せ、思い出すんだ寿。・・・・・・あっ、ワフの飼い主と同じ匂いがした。


狩り人だけどかしらじゃなくて、きこりじゃナイのに森の中で暮らしていて、それで。ハッ! たいらから移り住んだ山守生まれ、山越育ちの男。



そうソウそうソウ、産んだ産んだ。


山守からおさだか頭だか嫌なのが来て『女を差し出せ』って、それはソレは偉そうに言ったんだ。で詐が嬰児みどりごを『山守神やまもりのかみささげます』って、涼しい顔してさ。


うん、間違いナイ。あの子からワフの飼い主の匂い、した。




「詐が幾つの時か、までは覚えておりません。けれど子の時に嬰児を産んで、『女を差し出せ』と言って来た、山守の民に渡しました。嬰児の父はワフの飼い主。山守生まれ山越育ち、坦から留萌に移り住んだ狩り人です。」


キリリ。


「坦か。」


「留萌神も坦神たいらのかみも、御隠れ遊ばした。」


「けれど坦には坦神の使わしめだったアラ、坦の祝だったミヲが居る。」




アラはやまいぬの妖怪。ミヲは死んで隠となり、闇堕ちして妖怪になった。


二妖とも闇に強い。


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