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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
暗風編
1112/1589

12-30 何て子だい


セイが、あのセイが私の体を狙っている?


そんなの信じられない。セイは真っ直ぐで優しい子。助けに来てくれた人を足蹴あしげにして、勢いを増した川に落すなんてコト出来ないわ。




明日あび。」


「お、御婆おばぁ。」


山在やまきの長老で筆頭 かんなぎつえを手に、ゆっくり登場。


やしろの司から話を聞き、確かめた。畑人はたびとサトのせがれ、セイは死んだ。その魂は闇に食われ、おにとなって戻る事は無い。」


「そんな! いいえ違います。私が口寄せした時セイは・・・・・・いえ、狩り人ヒロはセイに殺されてんじゃないと。その、そう言って。」


ゴニョゴニョ。


せ。全てが偽りだとは思わんが、死口しにくちは。」


ギロリ。


「あっあっ。」


「明日の死口は残された人を慰めるモノ。そう思われ、求められている。悪いとは思わん。がな、明日。おのに使うな。」



狩り人ヒロ、ヒサ、ゴウ。釣り人ミチ、きこりトモ。十一の子、マツにタク。セイに殺された人は他にも居る。


皆に好かれる人など居らんが、セイに殺された人は良い人だった。残された人は深く悲しみ、その死をいたむ。



「御婆、私の口寄せは偽りではアリマセン。」


神口かみくち生口いきくちはな。が、死口は偽りだ。」


長老に見据みすえられ、身動みじろぎ一つ出来ない。


「おばぁ、もう、もうめて。」


ただジッと見つめられているダケなのに、杖を持って立っているダケなのに、どうして動けないの。


「ワシは何も。まぁ良い、聞け明日。その身は闇に狙われ、言い付けを破れば奪われよう。どうする。」


「エッと。」


「言い付けを破って外に出て、セイの皮をかぶった闇に近づく。言い付けを守って山在にこもり、巫として皆を支える。選べ! 死ぬか、生きるか。」


セイの皮を被った闇? ナニソレ。


「セイは山在の子です。しい何かに体を奪われたのなら、ソレから救い出し・・・・・・てっ。」


ズズズズズンと迫られ、口をつぐむ。


「セイは死んだ。死ねば終わり、生き返らん。明日よ、その体にアノ闇が入れば、死ぬぞ。」


ゾワッ。






御婆は歴代最強と謳われる巫。


山在神やまきのかみと死んだ山在の民をあがめ、しづたてまつる。みてぐらを手に舞う鎮魂呪術。神降ろしや神懸りも成功率100%  完璧すぎてコワイ。



狩山かやま九社のうち、祝が居ないのは山在社やまきのやしろのみ。それでも対対たいたいなのは御婆が居るから。


天賦てんぷの才だろう。御婆は善意の意図による白呪術『よし』と、邪悪な意図による黒呪術『あし』を自在に操り、どんな悪霊も更生させる闇の敵。






「うわぁ、何アレ。こんなに離れているのにココまで届くのか? こう、ゾワゾワして気持ち悪い。」


ティが縮み上がる。


「きっとアレが祝で、若いのは祝女はふりめだろう。」


アビニテヲダスナ。


「はぁ? 何だって。」


ココカラダセ。オレノナカカラ、テデケェェ。


の内な。」


ソノウチ? イツダ、ソレイツダ。






何て子だい、もう立ち直ったよ。アレだけ奪ってコンだけ闇を溜め込んで、ソレでも悪いと思えない。


ハッ、こりゃイイ。残らず取り込んで、からにしてから捨てよう。そうと決まれば早いトコ、いただくか。



あぁ待ち遠しい。あのうつわに入れば、きっと大きな力を手にするだろう。分ティし・あ・わ・せ。


テイから切り取られポイ、湖の中でモヤモヤ。魚からたぬき、モヤモヤに戻って鹿。そして今、人。次に狙うのも人。


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