表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
暗風編
1106/1592

12-24 用意どん


ほえ? ココはドコ、私はティ。そうだ、この体を乗っ取って人里へ行こうとしたら倒れた。ん、何か痛い。


倒れている間に、ねずみにでもかじられたか。






「ヒョッ、ヒョエェッ。」


い、イノシシに囲まれている。生きたイノシシの群れにカカッ、カコマレタ。


「どうしよう。」


人の子じゃ走ってもって、親はドウした親は。迎えに来いよ、探しに来いよ。


「・・・・・・食べても、美味おいしくナイよ。」


いやいや、まん丸プニプニ幼児体型。中身は残念だけど、野山を駆け回るのが好きな健康優良児。


「フゴッ。」


ドコからドウ見ても美味しそう。




やまいぬは人を襲いません。死肉はらいますが、それは食べ物が少ない冬季のみ。


人は雑食性なので食べても美味しくアリマセンが、同じ雑食性でも猪肉は食用肉。山鯨やまくじら牡丹ぼたんなどと呼ばれマス。つまり美味しい。




「くっ食う気か。」


焦った分ティ、ゾワッと闇を展開。


「フゴッ、フゴフゴ。」 コリャマズイ、ヤラレルマエニニゲルゾ。


後退あとずさいのしし軍団、十分に距離を取ってから一目散いちもくさんに逃げる。


「ふぅ。」


ホッと一息。






どう考えてもオカシイ。人の子が山に取り残されたのだ、親が慌てて探しに来るだろう。


それに『セイを置いて戻ろう』と言った、あの子。セイの親に伝えなかったのか? 他の子も。いや、伝えたとしても動かん。



セイよ、目を付けられているぞ。この感じは狩頭かしがしら、いやおさだろう。親は親で、あぁ諦めたのか。目が虚ろだ。


人が消えたり死ぬたび、頭を下げて回っている。となりゃ、そりゃ草臥くたびれるわな。




「ん? 一人だけ違うのが居る。」


女、それもやしろの。


「祝か! 祝が居るんだな。」


ワクワク。


「オッ、村外れで暮らしているのか。」


それも一人で。


「クックック。」


小さくでも男だな。年下ではなく年上に狙いを定め、甘えた目を向け近づくとは考えたな。子にか使えんし、周りに怪しまれる事も無い。


「朝、顔を洗いに出たトコロを狙おう。」






女が暮らしている家は村外れ、それも川の近くに建っている。ケシカラン何かの中に在るが、アチラから出てくれば奪えるだろう。


他に家は無いが畑があり、いろいろ育てているようだ。となるとセイと同じ、嫌われ者。



いや違う。他とは大きく違っているから恐れられ、うぅん。というより疑われている、怪しまれているのか。


何らかの力を生まれ持ったが、ソレを使いこなせてイナイ。まことなのかと疑われながら求められ、力をふるい続けている。といったトコロだろう。




「まぁ良い。奪えばハッキリする。」


また獣に襲われちゃカナワン。とりあえず近くまで行き、木の上で休むか。


「うぅっ。」


ブルル。


夏とはいえ夜は冷える。太い枝まで登れば暖かく、はナラナイが少しは過ごし易いハズ。


「走るか。」


トコトコ歩くよりポカポカするだろう。転ばないように気を付けながら、用意どん!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ