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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
暗風編
1104/1588

12-22 悶絶躃地


さぁて、人の体を奪えた事だし。ウフフ。人里へ行こう、そうしよう。オウッ。




「フンふフン、フンふふフン。」


人の子の体を乗っ取ったティ、略して分ティ。足取り軽やかに山在やまきへ向かう。


「ブヘッ。」


勢い良く清らな何かにはじかれ、派手はで尻餅しりもちをつく。


「もう、何だよコレ! 痛ってぇ。」


バンと叩いたら、てのひらがジンジンした。見ると真っ赤っかにれ、とっても痛そう。いや痛いんだけど、もっと痛くなり涙目。


「・・・・・・マズイな。」


この体をポイして他に、と考えていたのに。


「試すか。」


近くに落ちていた小枝を拾い、思い切りッ刺した。ら、勢い余って顔面から突っ込む。結果?


「イデェェェェェェ。」


悶絶躃地もんぜつびゃくじ






苦しみ悶え、転げまわって気絶した分ティ人。


ねずみが逃げた後、近づいたのは嗅覚とカンが鋭く、強面こわもてな大男コワ。山在の狩頭である。



「こりゃイカン。捨てて戻るぞ。」


???


「オレらには判らんが、このあたりに清らな何かが有る。コレはな、それに弾かれて伸びたんだ。」


まくが張られている辺りを手でグルグルして示し、連れて来た狩り人に良く分かるように説き明かす。


『コレ』とは分ティ人、つまりセイ。




「コワの言う通りです。ソレは禍禍まがまがしい闇で魚からたぬき、狸から出てモヤモヤに戻り魚。魚から鹿、鹿から人、そこに転がっているセイに乗り換えました。」


人の言葉を操る鹿に一同、ポカァン。


「カノシシよ、なぜワシの名を知っている。」


いち早く立ち直ったのは狩頭かりがしら、コワ。


「私は、いえ私たちはセイに殺され山在に戻ったおにです。今、話しているのは狩り人ヒロ。」


「ヒロって、ミチの。」


「はい、ミチの父です。良く聞いてください。セイは闇に体を乗っ取られ、人で無くなりました。山在は神の御力で張られた膜に守られ、清められています。山在の人なら出入り出来ますがセイは、人を殺し過ぎたセイは乗っ取られる前から、闇を宿やどしていたので入れません。」


皆『ハッ』として、直ぐ『ゾッ』とする。


「セイの姿をしたソレが気付けば、狩り人の誰かに取り憑くでしょう。セイの体では入れませんから。」


ゴクリ。


「皆さん、お願いです。セイを捨てて今すぐ、村に戻ってください。そして叶うならせがれに。いえやしろの司カヌに、見聞きした全てを伝えてください。」




カノシシのむくろに取り憑いたのは、セイに殺され山在に戻った隠たち。カノシシも体を乗っ取られたから、人の隠と力を合わせたのだろう。


オレの言の葉、隠たちの言の葉を聞き皆、考えを変えた。よな?




「皆、聞いたな。コレはセイだがセイじゃない。賢い獣なら食わんし、置き捨てしても死なんだろう。」


「そう、だな。」


ウンウン。


「よし、帰ろう。」


ウンウン。


「それが良い。」


!!!


「あぁ。我は山在神やまきのかみの使わしめ、すい。姿を見せねば伝わらんから、見せる事にした。」


日が出ているのに姿を現したやまいぬに一同、ポッカァン。


「ソコのカノシシ、付いて来い。」


「ハイッ。」


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