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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
暗風編
1102/1592

12-20 一本調子の話し方


セイの弟妹は育たず死亡。母は心労のあまり倒れ、二年前に死亡。


姉は嫁ぎ先で肩身の狭い思いをしながら、なんとか生きている。兄は母を葬って直ぐ、山在やまきを出た。


一人残った父、サトは農業に従事している。



疲れ切ってしまったのだろう。虚ろな目で遠くを、黙って見つめる事が多くなった。


毎日のように頭を下げて回るので、ずっと下を向いて歩いている。






「確かにセイは山在の子だ。けどよ、今でも悪いのにトンデモナイ何かに憑かれたら、そりゃもうドウしようもねぇよ。違うか?」


狩り人の一人が切り出す。


「そうだな。その悪いのが山在で狙うとしたら、カヌかミチの力だろう。」


ウンウン。


かんなぎってのも考えられるが、無いな。」


「大きな声じゃ言えないがアレ、どうなんだ?」






ウニャウニャ何か言いながら、結った髪が乱れるホド激しく頭を振る。倒れるまで手足をバタバタ動かし、ぐるぐるバタン。暫くしてムクッ。


で、いろいろ言うんだけどさ。あれ、まことか?



悪かナイよ、求められている事だし。


けど思うんだ。聞こえの良い事を言って、喜ばせてナイか。気にしてる事を言って、思うようにいざない導いてナイか。


気を引いておだてたり、『悪い事が起こるかも』って気にさせてナイか。






「なぁ、もし明日あびが乗っ取られたら。」


「セイよりマズイ事になるぞ。」


一同、真っ青。


「セイも明日も何と言うか、他との繋がり? をさ、避けてないか。」


「あぁ、そうだな。」


ウンウン。


「もしよぉ、村外れで会った時にヒョイと。」


「セイに憑いたのが、明日に移ったら。」


・・・・・・。



「そうなる前にセイを、山在から遠ざけてください。」


社の司、カヌが言い切る。


「イキナリすいません。けれどすいさまがコチラへ、悪しい何かが近づいていると。」


「ありがとう、カヌ。オレが良いって言うまでミチと、社の離れから出ないでくれ。それとソレ、今どの辺りに居るか分かるかい。」


「山在の向こう、狩山かやまもりに居る。」


「皆、聞いての通りだ。ソレが杜から出る前に、山在の外で囲む。」


「オウッ。」






フンふんフフンっと機嫌よく、セイの後を付けるティ鹿。そろそろ人里に入るカナなんて事を考えていた時、ビクンとする。



「この感じ。」


狩り人、だけじゃない。その後ろに。


「ヒャッ。」



たぬきに憑いていた時、思い切り蹴り飛ばしたやまいぬ。つつ、使わしめだ。


いや落ち着け。そんなに近くに、いたぁぁ!



「コマッタナ、ドウシヨウ。」



一本調子の話し方になるの仕方ない。


軽い足取りで近づく人の後ろに彗、発見。分ティィだった時の記憶が脳裏にババンとよみがえり、ガクガクぶるぶる。



「コノママデハイケナイ。ソウダ、アノコデテヲウトウ。ウンウン、ソウシヨウ。」


祝の力を持つ人ではなく、セイで我慢する事にした分ティ鹿。大急ぎで作戦を練る。






ピョンピョン、クワッ。


「あっ、カノシシ。」



練習用の弓に矢をつがえ、グッと引いた。パッと射るハズがポトリと落ち、チッと舌打ち。二の矢を番えてシッカリ狙い、放つもポトリ。


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