表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
暗風編
1092/1590

12-10 闇狸


また山守か。


山守は祝辺はふりべから食べ物を分け与えられ、飢えずに暮らしていると聞く。なのにナゼ求める。



弱い人を追いつめ、その命を奪い、大喜びして舞い踊るのだ。


祝辺も何を考えて。いや、止める気が無いのだろう。山守の民が揃って山越に移り住めば、誰も居なくなった地を丸ごとはらえる。



山守山にうごめく闇は全て、山守村に噴き出す。山守社やまもりのやしろは山守に在るのだから、山守神やまもりのかみが御力をふるい為されば清らになる。


なのに為さらないのは、山守の民が動こうとシナイから。社の司がコンコンと諭しても、人の守が言の葉を尽くしても響かないから。






「闇に体を乗っ取られたたぬき、長いな。闇狸は山郷やまさとへ向かったのか。」


山在神やまきのかみ、チョッピリ気だるげ。


「はい。やしろに団子をそなえ、手を合わせた人には何もせず、追ったようです。山郷やまざとには守りに清め、全ての声が聞こえる人も居ります。村に入れず逃げ出すか、突っ込んで清められるでしょう。」


山在神の使わしめ、すいがハキハキと答える。


「逃げるだろうね。」


「はい。」






山郷神やまざとのかみの使わしめ、ときは強い。


同じおに、それもやまいぬだ。判るよ。闇だろうがもやだろうが、山郷にわざわいおたらすモノは近づけない。



つがいを奪われ群れを離れ、熊に襲われそうな人の子を救う。


ソレがキッカケで山郷の子や女を見守りながら暮らし、祝に看取られ死に、求められて使わしめになった。






「彗。」


「はい。」






山郷から逃げた闇が狩山かやまを出れば良いが、こちらに向かえば。いや、山在やまきに入る前に祓おう。


この鼻は他よりシッカリ嗅ぎ分けられるし、尾を振れば禍を齎す全てを祓える。が、私一隠では難しかろう。



山在に祝の力を持つ人は居ないが、見える目を持つ人が居る。社の司カヌ、継ぐ子ミチ。二人居るが、ミチは八つ。


・・・・・・八つの子を駆り出すのはなぁ。






めかんなぎを閉じ込めよう。」


「えっ?」


明日あびを捕らえ、離れに閉じ込めよう。」


あぁ、聞き間違いではナカッタ。


「見える目も聞く耳も持たず、ハッキリ言ってにぶい。」


その通りですか、ソコまでおっしゃいますか。


「もし明日が闇に魅せられたり取り込まれれば、きっと山在は滅ぶ。」






かんなぎは神に仕え祭祀さいし神楽かぐら、神降ろしや神懸かみがかりを行う。女は巫、男はおかんなぎでナゼか女が多い。



神降ろしは託宣たくせんを受けるため、神霊を身に乗り移らせる事。神懸りは神霊が身に乗り移る事。巫覡が神懸りになって霊魂を呼び寄せ、その意思を伝え告げる事を『口寄せ』と言う。


神霊を寄せるのを神口かみくち、生霊を寄せるのを生口いきくち、死霊を寄せるのを死口しにくち



明日が唯一得意とするのが『口寄せ』で、困った事に他はカラキシ駄目。






「明日の口に飛び込めば、け合うでしょう。」


彗が伏せたまま、前足で頭をかかえた。


「神はドウコウ、死人がドウコウ言っている。と言って皆を惑わせ、闇を引き出すのだろうな。」


山在神がガクンと、項垂うなだれ為さる。






問答無用で明日を拘束し、幽閉すれば良いのに?


ソレが出来れば苦労しません。理由は簡単。歌って踊れる、山在のトップアイドルだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ