表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
暗風編
1091/1588

12-9 嫌われているワケでは無い


人に食わせる作戦を練るティィ、山中で第一里人発見。ヒャッホィと大喜び。勇む心を抑えながらあとをつけ、冷水泉ひやみずのいずみに出る。




狩山かやまさま。どうぞ、お召し上がりください。」


石積みのやしろに団子を供え、手を合わせて一礼。






近くに離れも里も村も無い。


ドコからドウ見ても祝の力を持つ人なんて、一人も居ない見当たらないゾ。社の奥から恐ろしい何かが、こちらをジッと見つめている。



この感じ、間違うモンか。魚の敵! 田龜たがめだ。


子魚だった時、捕まりそうになって逃げた。逃げて逃げて逃げまくったよ。この泉はヤツの、待てよ。ナンデ湖で狩ってんだ。ココにもイロイロいるだろう。






「ウゥゥ、ブルル。」


神に祈りを捧げてるアイツ、年寄りだ。あんなの奪っても先は無い。もっと若いの、子が良いな。


「オッ、歩き出した。」


チラッと団子を見てよだれが出たが、グッとこらえてトコトコついて行く。






狩山神かやまのかみの使わしめ、明寄あよは山裾の地にある大甕湖おおがめのみずうみ出身。田龜の妖怪である。



川北の生き物に嫌気が差し、渡り鳥に掴まって移住する事を決意。


強大な捕獲肢である前肢を広げ、かりに飛びつき、ブサブサ管を突き刺して脅迫。ではなく交渉し、気合と根性で望月湖もちづきのみずうみに到着。



他の昆虫を捕らえては体液を吸い、蛙や小魚を捕食。


腹を満たしてから冷水川を上がり、源の泉で石積みの社を発見。『これ幸い』と狩山神に直訴じきそし、使わしめとして就職。


食欲旺盛ゆえ冷水泉での食事を禁じられ、仕方なく望月湖で外食する。



明かりに吸い寄せられるように近づくので『明寄』と名付けられた。






「あの闇。」


「覚えが有るのかい、明寄。」


「はい。狩山神、この事。」


山郷神やまざとのかみ山在神やまきのかみに御伝えしよう。」


「はい。まど、こちらへ。」






烏のおに、団は狩山の社憑き。


山越烏に執拗に追い回され、つつき殺される前に供物の団子を与えられ、満足して死亡。隠となって直ぐ、社憑きに志願。


山守と山越を酷く嫌っている。



狩山神の勧めで参加した『隠烏の会』で、平良ひらの烏と意気投合。友好関係を築く。サラッとだが祝辺の事が聞けるので冷静に判断し、隠の守を中の上と評価。


ワリとシビア。



隠や妖怪は明寄を見るとまばたきが増えるので、団一羽に任せる事が多い。


嫌われているワケでは無い。明寄を乗せて飛び回る事で、狩山の隠や妖怪に危機が迫っていると伝わる。


これ、利点だよ。






「急ぎ山郷社やまざとのやしろ山在社やまきのやしろへ飛び、言伝ことづてを。」


「ハッ。」






狩山神は山神で在らせられるが山郷神やまざとのかみ山在神やまきのかみは狩りの神で在らせられる。二柱ともやまいぬの隠を使わしめと為さり、村の生き物を御守り遊ばす。



山在に祝の力を持つ者は居ないが、社の司には見えない物を見る力が有る。村に近づけば使わしめ、すいが吠えて知らせるだろう。



山郷には幾人いくびとも居る。社の司には守り、禰宜ねぎには清め。祝にはあらゆる生物の考え、声が聞こえる。


モチロン隠や妖怪も含まれ、会話も可能。






「平良から聞いた山守の呪い祝、テイの闇かもな。」


言伝を預かり飛び立つ前、団がポツリと呟いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ